横浜米軍跡地「新交通」は相鉄の弱点を埋めるか

旧上瀬谷通信施設跡、テーマパーク構想も浮上

横浜市は記事掲載の翌日、「(仮称)旧上瀬谷通信施設地区土地区画整理事業及び(仮称)都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業の環境影響評価方法書を縦覧し、説明会を開催します!」という報道発表資料を公開した。前日の朝日新聞記事で注目が集まり、良いタイミングだ。

上瀬谷ラインの計画図(画像:横浜市(仮称)都市高速鉄道上瀬谷ライン整備事業環境影響評価方法書より)

一方で、相鉄HDは朝日新聞の記事掲載直後「報道は当社が発表したものではない」というコメントを発表した。「相鉄線沿線の活性化視点でさまざまな検討を進めていることは事実」としつつ、「本地区に関わる事業に関して、現時点で当社として決定した事実はありません」という。

横浜市の発表によると、旧上瀬谷通信施設地区への交通手段として、相鉄本線の瀬谷駅から新交通システムを建設する。新交通システムの運営事業者は横浜シーサイドラインのような第三セクターを想定している。

しかし、その起点が相鉄の瀬谷駅となれば、事実上、相鉄の最寄り施設となる。集客力を期待できるから、相鉄のテーマパーク建設希望は自然な流れと言えよう。

相鉄沿線に足りないモノ

相鉄は「決定した事実はない」というけれども、何らかの形で関与すべき事案だ。なぜなら、大型観光施設はほとんどの大手私鉄が持っていて、相鉄が持たざるモノだからである。沿線のテーマパークや観光施設がない。私はここが相鉄の弱点だと思っている。

小田急は箱根、京王は高尾山、西武は秩父と川越、東武は日光と川越など、通勤とは逆方向の輸送需要がある。京成は成田山と成田空港があり、東急はこどもの国と横浜、最近は南町田グランベリーパークにスヌーピーミュージアムを誘致した。西武は飯能のムーミンバレーパークも記憶に新しい。

相鉄も海老名と横浜というレジャータウンがある。これらは相鉄沿線の人々にとって住みやすさ、楽しさを提供している。むしろ海老名から小田急で箱根方面へ行けるし、横浜からJRも東急も京急もある。相鉄は何もしなくても、沿線の人々にレジャー輸送を提供し、定期外運賃を稼げた。コバンザメ商法にも見えるし、運賃収入もそこそこだけど、経営的にはそれも強みと言えるだろう。

しかし、相鉄には沿線外の人々を呼び込むチカラが小さい。

相模鉄道と瀬谷駅 赤い点線が仮称上瀬谷ライン(画像:地理院地図を筆者加工)

ご存じの通り、2019年11月30日から「相鉄・JR相互直通運転」が始まった。相鉄にとって念願の東京都心直通運転だ。2022年度には東急新横浜線と直通予定で、東横線、目黒線に直通する予定になっている。都心直通が便利になる一方で、いままで横浜まで乗ってくれた客が西谷でそれてしまう。それでも相鉄はグループ全体の利益を取った。相鉄線全体が都心への通勤に便利になれば、不動産の需要は増え、人口も増えて、生活関連産業も活性化される。

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