コロナの感染拡大「VRで防ぐ」中国の医療事情 「日本の自動販売機」も医療従事者の助けに

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最初に危機的状況になった武漢では、1月24日、25日より「火神山医院」と「雷神山医院」の対新型コロナウイルス専門病院が急ピッチで建設されました。建設の様子は中国中央電視台(CCTV)が独占的にライブ中継を配信し、多くの中国市民が暇つぶしのために見ていましたが、2月3日には病院建設のライブ動画がVR表示にも対応しました。

病院建設ライブ動画のVR専用コンテンツでは建設現場を見渡すようなことができるようになっていました。これを実現したのは、中央電視台と、5G通信インフラを担うファーウェイと、通信キャリアのチャイナテレコム、それに360度撮影可能なカメラ「INSTA360」との提携によるものです。

VRで「新車の乗り心地」を体感

2月14日からは漢方医学に特化した新型コロナ感染患者向けの病院の運用が開始されました。このお披露目の記者会見では、メディアの記者はVRゴーグルを着用し、内部を疑似的に探索するコンテンツを見ました。博物館の内部が探索できるVRコンテンツが日本や中国をはじめ世界中で出ています。

『中国のITは新型コロナウイルスにどのように反撃したのか? 中国式災害対策技術読本』(星海社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

旅行を疑似体験するコンテンツがリリースされ、自宅待機も旅行したい中国人消費者が利用しました。中国国内の観光地を映像コンテンツにした「雲旅遊(クラウド旅行)」です。雲旅遊では、中国各地の5百カ所を超える著名観光地を画像や動画や音声解説するほか、VR向けコンテンツも収録しました。

広東省恵州(けいしゅう)市や浙江省嘉興(かこう)市など中国各地の地方裁判所の不動産競売物件の下見ができなくなり販売が難しくなったことから、不動産物件の下見にVRを導入しました。

また車の販売サイトで、より多くの車がVRによる乗り心地のチェックに対応できるようになりました。消費者が家から出られないので、仮想試乗をしてもらって、少しでも多く売ろうというものです。

山谷 剛史 フリーライター

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やまや たけし / Takeshi Yamaya

1976年東京都生まれ。理工系学科卒、前職SE。海外専門ITジャーナリストだが、特殊な中国IT事情が面白く、中国についてよく執筆する。
中国雲南省と福岡を拠点とし、中国各地や東南アジア、南アジアまで都市部、郊外問わず足を使ってミクロ経済の現場を調査。
著書に「日本人が知らない中国インターネット市場」(インプレスR&D)「新しい中国人 ネットで団結する若者たち」(ソフトバンククリエイティブ)。
連載に「山谷剛史のアジアン・アイティー」「山谷剛史のマンスリーチャイナネット事件簿」「山谷剛史のアジアIT小話」など。
講演、テレビ、ラジオ出演も。

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