コロナの感染拡大「VRで防ぐ」中国の医療事情 「日本の自動販売機」も医療従事者の助けに

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そこでVRゴーグルの登場です。ヒーリングミュージックを聴きながら、VRで周囲360度に癒しの空間を表示し、休憩時だけでも病院内の緊張した環境は忘れてもらって、メンタルを回復してもらおうという試みです。

病院で勤務する医療スタッフやガードマンや警察にリラックスしてもらうべく、睡眠がしやすい癒しの画面を表示し、仮眠時間に短くてもしっかり休憩させました。医療現場では、診察や手術よりも、こうした活用法のほうが多く事例が報じられています。

具体的には、浙江凡聚科技が、新型コロナで心理的に大きな影響を受けた神経科の患者に対して、薬を服用せずVRで治療するという手法を開発したという例があります。

また山東大学は、VR製品で有名なHTC VIVEを活用した「VRリラックス訓練システム」を開発、現場でミッションをこなし、ストレスがたまる山東省の警察に提供したという事例もあります。これにはストレス発散のための腹式呼吸リラックス法、音楽リラックス法、瞑想リラックス法などを指導するコンテンツが入っているそうです。

医療現場の人々を癒すテクノロジーは大事です。日本ではおなじみの、使い捨ての紙コップを利用した、コーヒーや飲料の自動販売機が武漢の雷神山医院などの医療現場に導入されました。ちょっとした感謝で、現場の人々は気持ちよくなったといいます。こうした現場の人々が少しでも気持ちよく働ける製品やテクノロジーは忘れてはいけないでしょう。

ドローンで体温測定

ARも各地で導入されました。マンション団地に入る人が住民か否か、体温はどうかがARグラスですぐに判断できるシステムや、商業地でセンサーで感知した人の体温を表示するARグラスといった装備を警察が実験的に導入しました。ドラゴンボールのスカウターのような、画面を半透明に表示できる特殊なメガネを装着し、人々の体温を見てわかるようにしたシステムです。

この目的としては、直接触れる、あるいは近づくことによるリスクを減らすことです。これと同様の目的で、ドローンで人に近づいて体温を測定するという手法があります。ドローンのほうが多く導入されました。コストもそうですが、他人に近づかないで他人の状態を知るならば、ドローンのほうがより向いていると考えられます。

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