中国の半導体投資「ブーム過熱」でバブルの兆し

デューデリジェンスなしで投資求める事例も

中国の投資業界では半導体関連プロジェクトへの投資ブームが過熱している(写真はイメージ)

「半導体関連プロジェクトへの投資が突然としてブームになった。米中貿易紛争の影響や国産化による輸入代替への期待の高まりが背景だが、はたしてこれは実需なのか、それとも画餅にすぎないのか?」

中国のベンチャーキャピタル、聯想創投(レノボ・キャピタル)のパートナーを務める宋春雨氏は、9月8日に北京で開かれた投資業界の国際フォーラムでそんな疑問を提起した。宋氏が最近関わったある案件では、希望する資金調達額が10億元(約155億円)にもかかわらず、帳簿上にはすでに20億元(約310億円)の資金が集まっていた。しかもプロジェクトの創業者は投資家に対し、デューデリジェンス(投資のリスクやリターンの適正評価手続き)の完了を待たずに資金を提供するよう求めたという。

「投資会社がデューデリジェンスなしで資金提供するなど、通常はありえない。いかなる業界への投資であれ、こんな現象が起きたらブーム過熱のシグナルだ」。投資会社の元禾控股(オリザ・ホールディングス)で半導体投資部門のパートナーを務める陳智斌氏は、そう指摘する。

とはいえ、仮に投資バブルが膨らみつつあるとしても、「ビッグウェーブの中から本物のチャンスを見つけ出すことは可能だ」というのが投資業界のおおむね一致した見方だ。2019年に中国が輸入した半導体は約3000億ドル(約31兆8300億円)相当に上るが、同年に中国が製造した半導体は約1000億ドル(約10兆6100億円)相当にすぎない。しかも大部分がローエンドまたはミドルクラスの製品だった。

国産化による輸入代替に「近道なし」

中国政府は近年、自国産業の高度化を通じて「製造大国」から「製造強国」への脱皮を図る政策を強力に推進している。この潮流が続く限り、半導体の国産化はアプリケーションの範囲においても規模においても持続的成長が期待できる。

それでも輸入代替の実現は容易ではない。投資会社のIDGキャピタルのパートナーを務める李驍軍氏は、「中国には表面上は有利な条件がそろっている」と話す。例えば人材面では、シリコンバレーなどで経験を積んだ人材が多数帰国している。資金面では民間資本、国家資本を問わず投資意欲が旺盛だ。サプライチェーンの観点でも、中国にはスマートフォンなどコンシューマー・エレクトロニクス分野のサプライチェーンが集積している。

本記事は「財新」の提供記事です

しかし李氏によれば、現実の半導体の製造プロセスは高度に分業化・専門化しており、1人のエンジニアがすべてをカバーすることはできない。その意味で人材はまだまだ不足している。資金面では大規模かつ長期の投資が不可欠であり、一朝一夕でのリターンは期待できない。サプライチェーンに関しても、CPU(中央演算処理装置)やGPU(画像処理半導体)などのキーデバイスは海外企業が知識財産権をがっちり握っている。

「これは壮大な挑戦だ。時間をかけて(技術やノウハウを)蓄積する必要があり、近道はない」。李氏はそう断言する。

(財新記者:葉展旗)
※原文の配信は9月9日

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