「ITバブル崩壊は間近だ」と叫ぶ人が見逃す真実

2000年に崩壊した時と、どこがどう違うのか

それはともかく、こうした株価反落の背景として、まず株価自体をみて、短期的にはやはり買われ過ぎだったと言えるだろう。以下はすべて週平均値ベース(週内の日々営業日の終値の平均値)だが、機関投資家などがベンチマーク(運用成績を測るための市場全体の値動きを示す株価指数)として主に用いているS&P500指数と比べると、ナスダック総合指数をS&P500指数で割った比率は、2018~19年は主として2.7倍前後で上下していた。だが主に今年に入って上昇を強め、8月最終週は3.33倍にまで達していた。

同様に、半導体関連株も、アメリカでは上昇が目立つ。半導体及び関連企業の株価から計算されているSOX指数について、同様にS&P500指数で割った比率をみると、2018~2019年は0.5倍を前後していたものが、今年9月第1週には0.66倍でピークを形成していた。

こうした短期的な相対株価の上昇が過熱感を呼び、ナスダック総合指数とS&500指数との比率は、先週は3.25倍に、SOX指数の比率は0.64倍にと、反落している。仮にナスダック総合指数との比率が、2018~2019年並みの2.7倍あたりに低下すると考えると、S&P500指数が横ばいという前提を置けば、ナスダック総合指数は、比率が3.25倍から2.7倍になるよう、現水準からさらに17%ほど下落することとなる。

ただしこれは、S&P500が横ばいと仮定しているので、S&P500がナスダックにつられて下落するのか、それともIT以外の業種に買いが移ってS&P500が逆行高するのかで、ナスダックの下落メドが変わってくる(S&P500とナスダック総合指数の両方に採用されている銘柄もあることに留意されたい)。

投資家行動にも危うい点も

こうした価格面の考察以外に、最近までのナスダック総合指数の上昇が危ういと解釈できる点は、投資家行動にある。IT関連銘柄への買いが、そうした業種を積極的に買おうという以外に、コロナ禍で他の業種が買えないから消去法的に選択している、という面もあったと推察される。こうした「仕方なしの買い」は、積極さを欠いているために脆い。

また、「ロビンフッダー」と呼ばれる、ネット証券のロビンフッド・ファイナンシャルを使って短期売買を積極的に行う若い投資家層が、IT銘柄のコールオプションを買い、それが個別の株価も押し上げた、との指摘がなされている。加えて、日本のソフトバンクグループが、やはりIT関連銘柄のコール買いを進めていたとの報道も、耳目を引いた。もしこうした一部投資家の買いがナスダック総合指数を押し上げていたのであれば、その点も短期的な観点では、本格的な株価上昇とは言いがたい。

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