老後資金を増やす「年金の受け取り方」のコツ 2022年からの年金改正をおトクに活用しよう

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まず、大企業サラリーマン世帯に多い、比較的恵まれたケースです。

【ケース1】
夫60歳、妻55歳。サラリーマンと専業主婦で、退職金あり。企業年金も確定給付企業年金と確定拠出年金に加入している。

このケースでは、夫が65歳まで働き、会社からの退職金はできるだけ少額にして60歳で受け取り、残りは企業年金で受け取るようにする、という方法がいいでしょう。

そして、確定拠出年金は65歳まで加入し、そこから年金で受け取り始め、公的年金は70歳から受け取り始めるのです。妻の公的年金も70歳、できれば75歳から受け取り始める。

そうすれば、金額にもよりますが、60歳で受け取る退職金は「退職所得控除」、65歳から受け取り始める確定拠出年金については「公的年金等控除」によって無税で受け取れる可能性が高いですし、公的年金も70歳から受け取り始めることで受給額が42%増えます。平均寿命から考えても妻のほうが長生きするでしょうから、将来の給付を手厚くするために妻も年金受給は繰り下げるのが賢明です。

貯蓄がない50代でもiDeCo加入で増やせる

次は、共働き世帯のケースです。

【ケース2】
夫婦とも55歳で、共働き。貯金はほとんどなし。企業年金もなし。iDeCoにも加入していない。退職金はそれぞれ500万円程度の見込み。

こういうケースも多いと思いますが、iDeCoは60歳以降も働いて厚生年金に加入していれば65歳までは加入できますので、55歳の現在から入っても遅くはありません。夫婦ともに加入すれば、積立総額は65歳までの10年間で累計552万円。また年収にもよりますが、仮に所得控除で戻る分が年間1人5万円とすれば、2人で10年間の合計は100万円、運用益なども含めて合計すれば750万~800万円は上回るでしょう。

そして、公的年金は70歳から受け取るようにします。理想は70歳まで働くことですが、それが無理でも2人の退職金も合わせると、2000万円近くはここから増えますから、今貯蓄がほとんどなくても65歳から70歳までの5年間はこの2000万円で生活することができるでしょう。

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