フォードCEOに昇格、マツダ元社長の手腕

日米で大規模なリストラを断行

フィールズ氏は1989年にハーバード大学で経営学修士(MBA)を取得し、フォードに入社。出世の階段を急ピッチで駆け上がり、1999年に38歳の若さで、当時フォードと提携関係にあったマツダの社長に就任した。

マツダでは、円高で一気に業績不振に陥る中で、短期間に2200人を超える間接人員の削減や工場閉鎖など大リストラを断行。役員数の大幅削減や若手の登用などの人事システムも刷新し、経営危機を乗り切った。当時迷走していたブランドイメージを再構築するため、現在も使われているキャッチフレーズ「Zoom-Zoom(ズーム・ズーム)」に定めたのもフィールズ氏だ。

マツダでの手腕が認められて、2002年にフォードに復帰すると、同社の高級車部門でアストンマーチン、ジャガー、ランドローバー、ボルボの4社を統括していた欧州のプレミアム・オートモーティブ・グループ(PAG)の会長に就任。赤字が膨らんでいた4社の再建に奔走し、フォードから切り離す提言を行った。当時、社内での反発は大きかったが、最終的には提言に従う形で、2007年のアストンマーチンを皮切りにこれらのブランドをすべて売却している。

そうした手腕を高く評価し、北米事業のトップに抜擢したのがムラーリー氏だった。業績不振のフォードのCEOに、同氏が就任して最初の役員会。各部門の経営収支を説明させると、ほかの役員が黒字見通しを出す中、フィールズ氏だけが赤字見通しを発表。ムラーリー氏は「現実が見えている」と賞賛したという。フィールズ氏がマツダで身につけた効率性の高い経営や質の良いものづくりの手腕に対する期待もあったようだ。

マツダ出向者が経営の中枢に

米国でのフィールズ氏の評判は必ずしも良くはない。異例のスピードで出世してきたこともあり、性格がいかにもエリート臭い、傲慢、短気、経営学の知識だけの頭でっかち、などの批判が多い。

ただ、新CEO発表の場で、創業家のビル・フォード・ジュニア会長が「マークは困難な仕事を与えられ、それを克服し、人間的にも成長してきた。入社当初は彼の可能性を疑っていた人々も、現在では彼を深く尊敬している」と語ったように、それらの批判を覆すだけの実績を積み重ねて来たのは確かだ。

フィールズ氏だけでなく、フォードの幹部にはマツダ出身者が多い。たとえば、ロバート・エル・シャンクスCFO(最高財務責任者)はフィールズ氏がマツダの社長時代にも、マツダのCFOとして仕えていた。マツダへの出向経験者は、フォードの中で「マツダ・マフィア」と呼ばれるほどの勢力になっている。

目下のフォードの課題は、欧州をはじめとした米国以外でも利益を着実に稼ぎ出せるようにすること。CEOとしてのフィールズ氏の手腕が試される。

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