つまり同国の大統領選挙において、世論調査は当てにならない(2016年のことを思い出そう)。そしてメディアによる分析も、バイアスがかかっている(リベラルなニューヨークタイムズ紙やCNNと、保守的なFOXニュースではまるで別世界だ)。ところがギャンブラーたちは、政治的主張を棚に上げて、「どっちに賭ければ儲かるか」という冷徹な視点で考える。つまりは賭けのオッズこそ、いちばん信頼に足る指標ということだ。
これからの見所は?
ということで、これから最終盤の2カ月を迎える米大統領選挙は「形勢不明」、と見ておく方がいい。何しろ追うトランプさんには現職の強みがある。その上でここから先、どこに注目すべきかを列挙してみよう。
第1の注目点はテレビ討論会だ。トランプ対バイデンの直接対決は3回行われる。生放送、出たとこ勝負でそれぞれ時間は1時間半。過去にはこれで何度も番狂わせが起きている。特に2回目の討論会はタウンホール形式となる。両候補は会場の参加者からの質問を受けるので、ハプニングが生じやすくなるからご注意を。
9月7日 レイバーデイ
9月29日 第1回テレビ討論会(オハイオ州クリーブランド)Fox News
10月7日 副大統領候補討論会(ユタ州ソルトレークシティ)USA Today
10月15日 第2回テレビ討論会(フロリダ州マイアミ)C-Span=タウンホール形式
10月22日 第3回テレビ討論会(テネシー州ナッシュビル)NBC News
11月3日 米大統領選挙・連邦議会・州知事等選挙投開票
これまでのバイデン氏は「ステルス作戦」で、ステイホームしながらトランプさんの自滅を待っていた。さすがにここから先は、みずから前へ出て勝負を挑まねばならない。しかし相手は根っからのテレビマンで、ハッタリもアドリブもお手のものである。
8月の党大会でバイデン氏は、アイルランド詩人のシェイマス・ヒーニーの詩を引用するなど、格調の高い指名受諾演説を行った。あのFOXニュースでさえ称賛する出来栄えであったが、所要時間は歴代で最も短い24分。民主党大会は完全リモート方式で、「無観客演説」で行われたこともあり、拍手や歓声による中断は一切なし。口さがない向きは、「ジョーの集中力は、25分までは持続するようだ」などと揶揄している。
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