「脱・サラ金」に照準、プロミスの正念場
この言葉には業界への批判や蔑視のニュアンスが込められている。当然、正当な金融ビジネスで、昔と変わったと考えていたが、そうした認識は外部に共有されていなかったことを痛感した。
今回、構造改革プランのテーマを「原点回帰と顧客社会からの存在証明の再取得」としたのも、そうした思いがあるからこそだ。
もっとも、有人店舗を全廃することで、“ナマ”の顧客接点を失うことから、マイナス影響も危惧される。そこで、全国20カ所に設置する「お客様サービスプラザ」を新しい軸に据えた。同拠点では社員から厳選されたマネーアドバイザーが、借り入れから返済までの相談などに当たる。
「われわれが有するスキルで社会的に必要とされるのは審査システムの部分しかない。これまで、そのスキルをいかに不良債権の償却を抑制するかといった内向きなところで駆使してきた。今後は、必要以上に借り入れせずとも済むという、生活者の予防的手段としてのカウンセリングに向ける」(久保社長)。
こうした業務を通じて、「社会への同化」を実現することが、プロミスのメタモルフォーゼにほかならない。
しかし、構造改革プランの実行は茨の道だ。全従業員の3割(1600人)の削減は物理的にも精神的にも厳しい。半数を希望退職の募集でこなす考えだが、長引く不況で再就職が難しい中、想定どおりいく保証はない。
アコムは昨年末、希望退職を実施したものの、応募者数が会社計画を大きく下回った。「プロミスも人員削減は容易でないだろう」というのが競合他社の一致した見方である。それでも、社員の肩をたたかざるをえないのは、新たな経営環境の下で生き残るため、大幅なコスト削減が不可欠だからだ。