「脱・サラ金」に照準、プロミスの正念場
新たな環境に適合するためには、さなぎが蝶に変容するメタモルフォーゼのような劇的変化が求められる。さもないと、「適者生存」の切符は得られない。消費者金融業界が今、まさにそうだ。
「これまでどおりならば、商売をやめよ」ともいうべき、最後通告に等しい貸金業法の完全施行(今年6月予定)が刻々と近づく。貸付金利引き下げや、借り手の年収の3分の1を与信上限とする総量規制の導入。過払い利息返還という負の遺産処理もさらに増えかねない。
現に、大手のアイフルが私的整理の一種である事業再生ADR活用で再生に踏み切り、アコムでは大幅なコスト削減を急いでいる。
そうした中、1月28日にプロミスが発表した「事業構造改革プラン」こそが、メタモルフォーゼの意味を多分に有している。全国148の有人店舗は全廃し、向こう1年で約5300人の従業員を3700人に圧縮する。さらに子会社(三洋信販、アットローン)合併、本業外の事業売却等々。内容は厳しく、激しい。
変化の認識とは大違い サラ金と呼ばれる現実
大ナタを振るう久保健社長は、創業家出身の神内博喜氏に代わり昨年11月就任したばかり。この間、頻繁に営業現場へ足を運び続けてきた。「顧客に最も近い営業現場の人たちが、われわれがやろうとしている意味を理解しないかぎり、顧客社会の当社を見る目は変わらないから」と話す。
三井住友銀行の執行役員からプロミスに転じたのは2007年5月。直後から活発化した貸金業規制法改正論議で、消費者金融会社は、かつての俗称である「サラ金」と呼ばれる場面が増えた。