数字で見ると明らか「アベノミクス」残念な実績 在任期間中、日本経済はどれだけ「成長」したか

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黒田総裁はわずか2年で2%のインフレを実現できると主張したが、現実にはその水準に近づくことすらなかった。これは、中央銀行なら十分に頑張るだけで思いどおりのインフレ率を達成できると考えていた金融経済学者らに再考を迫る結果となった。

2015年4月(黒田総裁が当初2%を達成する目標として設定した日付)から2020年6月まで、「コア・コア」インフレ率と呼ばれる指標(食品、エネルギー、および消費税を除いたもの)は、平均わずか0.2%と、ゼロも同然の水準にとどまった。つまり大げさに言わずとも、日本銀行は上述の2%という目標を諦めたようなものなのだ。

もちろん、0.2%のインフレは、1999年から2012年までの-0.6%というデフレよりはいい。しかし、このインフレはほとんど、もしくは一切、成長を促進することにはつながらなかった。つまり現実には、デフレは日本の問題の原因なのではなく、その症状なのだ。

増税の一方で…

財政政策に関しては、安倍首相はアクセルとブレーキの両方を用い、しばしばそれらを同時に用いた。安倍首相による増税で、人々の財布からは支出に使えるお金がなくなってしまった。それに対して、安倍首相の在任期間全体では、政府の歳出がなんと全GDP成長率の42%を占め、2014年1〜3月期から2020年1〜3月期までに絞るとその数字は80%という驚くべきものになる。

安倍首相は(果たされることはなかったが)2020年までに基礎的財政支出(国債費を除いた予算の全体)をプラスマイナスゼロにすると約束したが、経済が一切成長しないのではないかと恐れて、大きな財政赤字を出し続けるほかなかったのだ。

3つ目の矢、つまり生産性を向上させる構造改革は、大部分が空約束や自慢話のようなものであり、具体的な行動はほとんど伴わなかった。外国人投資家の目には、政策というよりセールスピッチのようにしか映らなかった。

アベノミクスを待ち受ける次の大きな試練は、新型コロナウイルス感染症によって世界経済に悪影響が出るなか、日本経済がどれほどの回復力を示すことができるかになるだろう。

リチャード・カッツ 東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

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Richard Katz

カーネギーカウンシルのシニアフェロー。フォーリン・アフェアーズ、フィナンシャル・タイムズなどにも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。著書に『The Contest for Japan's Economic Future: Entrepreneurs vs. Corporate Giants 』(日本語翻訳版発売予定)

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