高齢化が進み、働く世代である生産年齢人口が減少していることは、労働力人口が減少を続けてきた大きな原因だ。「生産年齢人口」は、15~64歳までの人口で、1995年の8726万人をピークに減少に転じており、ここ数年間は特に減少が加速し、急なものとなっている。
生産年齢人口の減少で人手不足経済化が進む
第2次世界大戦終了直後の1947~1949年に生まれた、いわゆる「団塊の世代」の人たちは、同じ年生まれが200万人以上もいる。たとえば2013年10月1日時点で64歳だった人は223万人と推計されている。この人たちが65歳に達して年金生活に入るのと入れ替わりに、労働市場に入ってくる若い世代の人口規模は120万人程度なので、単純計算では差し引き毎年100万人程度も労働力人口が減ることになる。
失業者の数は3月現在で246万人(季節調整値で236万人)にすぎない。左図のように、60代の人口は多いので、高齢化は今後数年間で急速に進み、就業者数が変わらなければ数年で失業者がゼロになってしまう。人手不足が一段と深刻になるはずだ。
高校や大学の新卒者の就職活動は、これまで氷河期とも言われるほど厳しいものだったが、今や一転して売り手市場になっている。
1980年代後半のバブル景気では、高成長が続くという予想から企業が積極的に雇用を増やし、著しい人手不足が起こって失業率は1990年には2%にまで低下した。しかし、その後のバブル崩壊以降、低迷が続く日本経済では、簡単には人手不足にはならないと多くの人が思い込んでいただろう。
しかし、団塊世代が60歳に到達し始めた2007年ごろも景気が回復していたために同じような状況が起こっており、新卒採用は超売り手市場だった。2008年にリーマンショックが起きて世界経済が大きく落ち込んだことに加えて、高年齢者雇用安定法によって高齢者の就業が進み、団塊世代でも65歳まで働く人が増えたため、人手不足が顕在化しなかっただけだ。底流では人手不足経済化が進んでいたのである。
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