日立製作所の次期社長に中西副社長が昇格、川村会長兼社長は会長専念、止血にメドつけ攻勢へ
日立製作所は、中西宏明副社長(63歳)が4月1日付で社長に昇格する人事を発表した。川村隆会長兼社長(70歳)は会長職に専念する。
記者会見で川村社長は「昨年社長を引き受けたとき、3年連続最終赤字が続いていた。まずは出血を止めないといけなかった。世界恐慌の心配もあり、社長と会長を兼任してやらざるを得なかった。大きな出血を止めて、課題事業の整理も出来た。一定の成果が数字からも出ていている」と語った。
かつては、日立の社長の任期は10年といわれた時代もあったことを考えると、川村社長が1年で交代する今回の人事は異例だ。しかし、もともと川村体制の誕生こそが異例だった。
川村社長は昨年4月に社長に就任。本体の役員を退き、グループ会社の会長だった69歳の川村社長が会長職も兼任する異例の登板は、09年3月期には7000億円を越す最終赤字を計上するなど非常事態ゆえのこと。
川村社長は就任後、持分の半導体会社ルネサステクノロジの統合、上場5子会社の完全子会社化、公募増資--などでいくつかの課題に道筋をつけた。社長交代と同時に今2010年3月期の業績予想を上方修正も発表している。
また、日立は社会インフラ事業に傾注している。同事業は国の関与も多く社長以上のトップセールスを必要とする場合が増えている。川村社長1人では対応できないケースが出てきており、会長と社長の2人で対応できるようにした、という面もある。
依然として今期は最終赤字ではあるが業績改善にメドがついたことで会長兼社長の兼任から「会長と社長という普通の日本企業の役割分担になる」(川村社長)。ようやく異例の事態から普通の状態に近づいてきたといえそうだ。
中西次期社長は「日立の次の成長を実現するために全力を尽くす」と抱負を語った。川村社長の脱総合電機、社会イノベーションの「方向性を堅持して変革スピードを上げていく」。