五輪延期で東京ビッグサイト「利用休止」の波紋 頼みの展示会取りやめで悲鳴をあげる中小企業
営業の場を失った展示会主催社や出展社などは6月、ビックサイトを所有・運営する「株式会社東京ビッグサイト」の株式75.8%を実質的に保有する東京都に嘆願書を提出。貸し出し休止延長の穴埋めとして、東展示棟と同規模の仮設展示場の建設を求めた。
嘆願書の発起人代表を務める、展示会主催会社大手のリードエグジビションジャパンの石積忠夫名誉会長は、「東京五輪が開催されていれば、今年の12月からは予定通り使用できるはずだった。すでに昨年から展示会スケジュールが組まれており、2000社以上と出展契約を結んでいる」と貸し出し休止延長に危機感を募らせる。
「展示会は毎年決まった時期に開催する。開催スケジュールから逆算してそれに間に合うよう新商品を開発する企業も多く、毎年開催することに意義がある」と石積会長。嘆願書には出展社をはじめ572社、3500人の署名を集めたが、東京都からは前向きな回答は得られなかったという。
展示会休止で売り上げは9割減
不安を募らせるのは、出展企業や主催者だけではない。都内で装飾や仮設ブースの施工を手がける東京造形美術の石森隆太郎社長は、「2020年3~8月の売り上げは前年同期比でマイナス95%だった」と肩を落とす。同社の受注は9割が展示会関連を占め、うち7割はビッグサイトで開催される。
「東棟の貸し出し休止(期間)が延長されれば、売り上げの過半を失う。これまで積み上げてきた売り上げが、この半年間ですべて消えた。仮設業界は体力の乏しい中小企業が大半で、廃業を決めた同業他社もいる」(石森社長)。
ほかにも警備会社や派遣会社、弁当会社など、展示会関連の事業を行ってきたさまざまな企業が影響を受けている。
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