消費減税はポスト安倍の政策課題になりうるか 減税は安倍政権の成果を否定することになる

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7年8カ月に及ぶ安倍政権は、消費増税を実現するためにできた政権ではなかった。とはいえ、消費税率を5%から10%まで引き上げた内閣として、図らずも歴史にその名を残すこととなった。

消費減税は、消費税率を10%まで引き上げた安倍内閣の成果を覆すことを意味する。これまでの消費減税の議論は、引き上げを決断した安倍首相が景況判断などについて自己否定する形で税率を引き下げることを、暗に想定していた。

安倍政権の成果を否定する消費減税

しかし、安倍首相が辞意を表明した今、次期首相が消費減税を決断するとなれば、安倍政権を真っ向から否定することになる。

そのうえ、消費減税に踏み切るのならば、安倍政権において消費税を財源として充実させた社会保障や教育無償化について、その財源に穴が開くことに何らかの対応策が問われることとなる。それは、充実させた社会保障や教育無償化の一部をやめるのか。それとも別の財源を見いだすのか、または借金で穴埋めするのかだ。

消費減税で穴が開いた財源を示せなければ、野党ならいざ知らず、政権与党として無責任との批判にさらされる。さらに、いったん引き下げた消費税率を元に戻すのはその先となる。次期政権が短命政権でなければ、消費税率を元に戻す任務も担わなければならないだろう。

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