日本電産が今期業績予想を上方修正。さらに「もう1回上方修正することもありますよ」と永守社長が言及

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日本電産が今期業績予想を上方修正。さらに「もう1回上方修正することもありますよ」と永守社長が言及

日本電産は今2010年3月期の利益見通しを上方修正した。会社側が発表した予想は、売上高が前回見通しと同じ5700億円(前期比92.9%)、営業利益が前回見通しよりも90億円増額の670億円(前期比129.3%)。また、配当計画についても、従来の年間50円から60円に増額した。「東洋経済オンライン」は会社計画数字を独自に増額していたが、今回の会社予想営業利益はこれを上回る。

業績予想が上振れたのは、主力の精密小型モーターの利益率が改善したためだ。前期は世界不況による在庫調整の波にのまれ、受注が大きく減少した。が、今期はノートブックパソコンなどの販売増を背景に、HDD用モーターが想定を上回るペースで回復。特に、好採算の2.5インチタイプの需要が拡大している。また、購買活動や設計見直しなどの収益構造改革「WPRプロジェクト」が順調に浸透したことも、利益を押し上げる。

一方で、中型モーターは通期ベースで赤字となりそうだ。パワーステアリング向け車載用モーターの受注が増えたものの、将来の受注増に備えた先行投資が重しとなる。車載用モーターについては、電気自動車などエコカー向けのメインモーター参入を模索しているが、売り上げに寄与するのは12年以降になりそうだ。また、機器装置も液晶ガラス基板搬送用ロボットなどの減少により回復が遅れている。とはいえ、精密小型モーターの利益率アップがこれらのマイナス要因を補いそうだ。

「もう1回上方修正することもありえますよ。今期は4回上方修正すると宣言していましたから」。1月28日に行われた決算説明会の席上、永守重信社長はそう語った(今回の上方修正は今期3度目)。確かに、会社は今期の通期見通しを増額したが、1~3月期(第4四半期)の見通しだけに限れば従来計画を据え置いている。収益構造改革が本格的に寄与していることを考慮すると、今期4度目となる増額修正も十分に考えられよう。

以上から、「東洋経済オンライン」は下記のとおり、今期の業績予想を会社計画よりも独自に増額。来11年3月期予想も引き上げる。

(梅咲 恵司)


《東洋経済・最新業績予想》
(百万円)    売 上  営業利益 経常利益  当期利益
◎本2009.03  613,458 51,806 47,029 28,353
◎本2010.03予 580,000 74,000 70,000 44,000
◎本2011.03予 660,000 84,000 80,000 50,000
◎中2009.09  268,743 28,321 22,474 13,788
◎中2010.09予 304,000 40,000 40,000 25,000
-----------------------------------------------------------
         1株益¥ 1株配¥
◎本2009.03  197.4 60 
◎本2010.03予 315.9 60 
◎本2011.03予 359.0 60-65 
◎中2009.09  99.0 25 
◎中2010.09予 179.5 25-30 

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