「やる気が出ない自分」を楽に動かす科学的方法

パフォーマンスを保てる人、保てない人の差

朝の時間は意志力ももっとも高い時間帯。「やろう」と決めたことを最も遂行しやすい時間帯です。

そして意志力は、朝をピークに時間が経つと低下していきます。夜に近づけば近づくほど「まだもう少し後でいいか」という気持ちになってしまい、どんどん先送りされるという事態になるのです。もちろんその間もずっとコストを払い続けることになります。

誰かに謝罪しなければいけない場合は、相手の意志力も午前中のほうが高いことも大事なポイントになります。意志力が高いと人は相手の言動を冷静に受け止めやすくなります、意志が低下すれば感情的になりがちです。

イスラエルの刑務所で行われた、仮釈放を申請した4人の囚人についての実験があります。この実験では、審議を受ける時間帯によって受刑者が仮釈放を認められる確率が大きく変わる結果となりました。午前中に審議を受けた受刑者が仮釈放を認められる確率は70%でしたが、午後の遅い時間に審議を受けた受刑者のその確率は10%未満だったのです。

意志力や自制心が枯渇してしまっている場合、人は楽な選択肢や勧められるがままの品物を選んでしまうという「決定疲れ」が起きるのですが、これが刑務所の判事にも当てはまることがわかったのです。

謝罪の場合も同じで、相手の意志力が高い時間帯のほうが冷静に対処してもらえる確率は高い。思い当たる人もいるのではないでしょうか。

また、例えば謝罪など、頑張ってやったものの相手の反応次第では気がめいる結果に終わる場合もあるかもしれません。「だからやりたくなかったんだ……」と思うようなケースもあるでしょう。

このように精神的なダメージを受けた場合でも、朝ならその後に回復するチャンスが多くあります。

ネガティブな側面にも目を向ける

こうしたあまり気が乗らない、できれば後回しにしたい仕事は、見て見ぬふりをしたくなるかもしれませんが、実はそこにあえて注目し、対策を練るのがモチベーションを上げるコツの1つです。

ニューヨーク大学のモチベーション研究所の室長を務めるガブリエル・エッティンゲン博士は、「メンタル・コントラスティング」という目標達成のための手法を生み出しました。

これは夢や目標をもったとき、その夢が実現したときやその目標が達成したときなどポジティブな側面ばかりに目を向けるのではなく、その計画が途中でうまくいかなくなることなどネガティブな側面にも目を向ける、というもの。

そのほうがモチベーションが続き、あらかじめ夢の実現や目標達成を阻む障壁を予想し、その対策を練ると、行動のエネルギーが一層湧くというのです。

エッティンゲン博士の理論は、人材育成の会社を経営する私が指導している生徒さんにも当てはまる場合がよくあります。

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