「やる気が出ない自分」を楽に動かす科学的方法 パフォーマンスを保てる人、保てない人の差

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例えば「仕事で英語を使えるようにする!」という目標をもった生徒さんの多くは、英語を使えるようになれば「新たな仕事を任せられるかもしれない」「海外にある支社に転勤させてもらえるかもしれない」「海外のスタッフとプロジェクトを組めるかもしれない」などと新たな可能性に胸を膨らませます。実際に英語を習得すれば、本人が想像している以上のことが起きる場合も多いので、そんな生徒さんの姿を見るのは大好きです。

ですが、「夢を見る」だけでは夢は実現しないのも事実です。最初のうちは目を輝かせていた生徒さんから、途中で「仕事が忙しくて勉強する時間が取れません」という連絡が入る場合があります。

聞けば、当初は仕事が終わった後の夜を勉強時間に充てようと計画していたのですが、連日残業が入ってしまい、家に帰ると結局寝るだけになってしまい勉強時間が取れないというのです。

ウキウキしながら「今日やらなくていい仕事」を選ぶ

目標達成までの道のりには必ずこのような障壁があるはずです。そこで、どうするか。どのような障壁があるかを予想し、その対策を練ることが目標を達成しやすくなるとエッティンゲン博士は言っています。

「仕事が忙しくて勉強時間が取れない」と半泣きだった生徒さんには、朝の時間の活用を勧めました。

そもそもこの生徒さんの仕事は決まった時間に終わるような類いのものではなく、突発的な事案も頻発するもの。にもかかわらず夜に勉強時間を設定したのは、自ら「壁」を作るようなものだったのです。でも朝なら案外簡単に、誰でも自分の時間を確保できます。

この生徒さんも夜に勉強するのをやめ、朝型に切り替えたらあっさりと勉強時間をもてるようになりました。

さて、あまり気が乗らない、できれば後回しにしたい仕事を抱えているときには、この「メンタル・コントラスティング」の心理を応用して、まずはその仕事をやり終えるための具体的な対策を練りましょう。

その仕事はどうして気が乗らないのか、どうして後回しにしたいのかの原因を考え、対処法を練ります。

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例えばその原因が技術的に困難な場合は誰かに任せるという方法はとれないか、あるいは一部を手伝ってもらえないかなどと考えます。「この仕事はやって何になるのか」などと思ってしまうなど気持ちにその原因がある場合は、「これもいずれは意味のある経験になる」「これを自分がやることできっと誰かが喜ぶはず」などと、自分の気持ちがアップする考え方を探すなどします。

やるべきことや考え方が具体的に見えてくると、やろうというエネルギーが次々と湧いてきます。

「対策が練られたらやる気も湧く!」

そんなゴールが待っていることを期待して、ぜひウキウキした気分で対策を練ってみてください!

塚本 亮 ジーエルアカデミア 代表取締役、京都山城スポーツクラブ代表、同志社大学嘱託講師

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つかもと りょう / Ryo Tsukamoto

1984年京都生まれ。高校時代、偏差値30台、退学寸前の問題児から一念発起し、同志社大学に現役合格。卒業後、ケンブリッジ大学大学院で心理学を学び、修士課程修了。

帰国後、京都にてグローバルリーダー育成を専門とした「ジーエルアカデミア」を設立。

心理学に基づいた指導法が注目され、国内外の教育機関や企業、トップアスリートなどから指導依頼が殺到。これまでのべ6000人に対して、世界に通用する人材の育成・指導を行っている。主な書籍として26万部突破のベストセラー『「すぐやる人」と「やれない人」の習慣』などがある。

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