BLMと「協同組合大国アメリカ」をつなぐ点と線 「ウォール街を占拠した若者」が今取り組む仕事
しかし現在、電力協同組合や相互保険会社など多くの大規模な協同組合では、創業当時のような組合員の関与がなくなっている。組合員には顧客としての意識しかなく、自分も組合の所有者であり組織を統治する立場にあることを自覚していない。経営陣にとってもそのほうが都合がよい。
電力協同組合に蓄積された巨額の利益剰余金は、名目上、組合員のものとされるが、還元要求がないまま無利子の融資の財源として使われることが多い。その実態を調査したある議員が情報開示をはじめとする改革を提案したものの、協同組合ロビイストの抵抗に阻まれ、ほかの議員たちも見ざる聞かざるを決め込んだ。
世代の分断を橋渡しする
先人が掲げた理念、組織運営のノウハウ、莫大な資産を持ちながら、惰性に流され貴重なレガシーを眠らせている従来型の協同組合。一方で、時代の流れに敏感に反応し、先端テクノロジーも利用してこれからを生きるための仕組みづくりに挑みながら、孤軍奮闘する若い協同組合家たち。
シュナイダーは分断されている旧世代と新世代の協同組合の橋渡しを志し、自身も協同組合の勉強会を立ち上げた。
希望を持ちにくい時代に希望が持てる生き方を創造しようとしている人々を取材し、新しい社会の青写真を描こうと試みたのが本書だ。現在進行中の手探り感が生々しく伝わってくる。
紹介されている事例の中には成果を出した活動もあるが、まだ萌芽にすぎないものも多い。先の見えない不安な社会だからか、実績や評価の定まった成功者がもてはやされる反面、未熟な挑戦者は許容されにくい風潮が強まっているように感じる。
怒れる若者たちが歩んだ「その後」を出発点に、閉塞感のある社会で希望の芽を育てる動きを追ったこの本は、デモの先にある可能性に気づかせてくれるかもしれない。
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