成城石井の品ぞろえが他店と全く違うカラクリ 仕入れを他者に委ねない「バイヤー」の獅子奮迅
成城石井のバイヤーは全員が、店舗経験者だ。まさに現場を知っている。そして担当カテゴリーに対する知識は専門メーカー・商社以上でないと、と伝えられている。そうしないと、買い付けをしても勝てないからだ。
だが、成城石井には卸にはない強みがある。店舗を持っているということだ。売り場に商品を投入したとき、どんな動きを見せるか、すぐにわかる。バイヤーは、販売実績を自分たちで分析できるノウハウも持っている。
実際、売れ行きがいいと1時間で追加注文をかける。逆に、厳しい状況だと見れば、価格戦略を含めて次の対策にすばやく出る。これはニーズが低い、と見れば引き際が早いのも成城石井の特徴だ。成城石井のバイヤーの世界は、甘くないのである。
そして売り場を持っているからこそ、売れるサイズ、売れる値段、売れる味覚、売れるパッケージなどを知っている。まだ都市部では知られていない地方の銘品を扱ったり、オリジナル商品の作り手としてコラボレーションしたりするとき、これが生きてくる。今や、オリジナル商品の開発も、バイヤーの重要な仕事になっている。
熟練バイヤーだからこその独特な目利き
バイヤーの仕事とは、どういうものなのか。実は、単に知識や技術ではないのではないか、という印象的なエピソードを社長の原氏に聞いた。
「海外の展示会に行けば、4000、5000もの出展社があります。おそらく、普通の人が行けば、ただのブースに並んでいるだけのように見えると思います。ところが、なぜか自分にはそこだけ輝いて見えるときがあるんですよ(笑)」
結果として、思わぬものをバイイングしてしまったりするのだ。その1つが、原氏がバイイングした成城石井のスター商品、イタリア・フェラリーニ社のチーズ「パルミジャーノ・レジャーノ」だったりする。
世界に出られない今、彼らの視線は国内に向いており、これから驚くような逸品が出てくるはずだ。バイヤーの神髄は、「本当にいいもの」を仕入れたいという強烈な思いだ。それが、驚くようなアンテナを立たせるのかもしれない。
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