成城石井の品ぞろえが他店と全く違うカラクリ 仕入れを他者に委ねない「バイヤー」の獅子奮迅

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また、実は和菓子もラインナップが豊富だ。お菓子コーナーには地方の隠れた銘品がずらり。ここにもオリジナル商品がたくさん含まれていたりする。輸入もののイメージが強い成城石井だが、実は和のものも人気なのだ。

さらに成城石井で人気なのが、セントラルキッチンと呼ばれる自社工場で製造された自家製惣菜だ。和食、洋食、中華だけでなく、大ヒット商品「フォー・ガー」など、なんとエスニック料理まである。本場ドイツの製法を今も守る自家製ソーセージは大人気商品の1つだ。

海外から取り寄せた独特な商品が並ぶ(撮影:今井 康一、成城店で2019年3月撮影)

自家製スイーツも、今や成城石井の看板商品ともいわれ、年間120万本以上売れるというプレミアムチーズケーキをはじめ、コーヒーゼリーやプリン、最近ではモーモーチャーチャーなど人気商品がずらりと並ぶ。

ほかにも牛乳、お酒、魚、肉など特徴ある売り場がずらり。また、発売時には行列ができる商品、成城石井ファンが毎年の発表を心待ちにしている商品など、話題には事欠かない。では成城石井は、どうやってこの品ぞろえを実現させているのか。

自前の輸入会社を持ち、バイヤーが世界を飛び回る

問屋や輸入業者に仕入れを委ねてしまい、入ってきた商品を店頭に並べるだけなら、こんな品ぞろえにはならない。成城石井は自分たちで輸入会社を持ち、バイヤーが世界を飛び回り、国内にもアンテナを鋭く立てているから、こんな仕入れができるのだ。

実際、バイヤーはカテゴリーごとに担当を持ち、味、品質、価格のバランスがとれた隠れた優良商品を常に探し続けている。日本中で、世界中で。展示会場に行ったり、マーケットや飲食店を巡ったり、マルシェを回ったり。そして、これぞと思うものがあれば、大胆に仕入れる。

もとより、実は「本当にいいもの」を作っている一流の作り手は、誰にでも売りたいわけではない。これは、世界でも日本でも同じ。商品の価値を知り、理解し、自分たちも認める顧客に売ってほしいと考えているのだ。

だから、バイヤーたちは、お店で売らせてほしいと懸命に頭を下げることになる。そういう「本当にいいもの」をこそ、成城石井は仕入れることを考えているのだ。しかも、できるだけリーズナブルに。

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