中食で静かなブーム、「生から惣菜」って何? 「生の食材」使った総菜を考案した陰の主役
激戦続きの中食市場に、意外なジャンルから新商品が登場した。
耐熱性の高い容器に生の肉や魚を入れ、電子レンジだけで調理することを可能にした「生から惣菜」シリーズだ。これを開発したのは、食品トレーや弁当・総菜容器の最大手・エフピコ。同社の佐藤守正社長は「調理済みの総菜を温めて食べる時代ではない」と語る。メニュー提案もしながら、食品メーカーやスーパーに「生から惣菜」シリーズとして売り込んでいる。
容器はエフピコが提供し、食品メーカーが総菜を作り、スーパーで販売する。この3者が共同で総菜を開発することもある。寒さが厳しい今の季節、プラスチック容器で煮込んだ鍋料理が人気を集めそうだ。
110度まで耐えるプラスチック容器
高級食品スーパー・成城石井の総菜コーナーにはさまざまな種類の総菜が並ぶ。電子レンジで温めるだけでおいしい料理が食べられるため人気があるが、よく見ると「豚しゃぶ」や「豚ばらモヤシ炒め」「牛すき焼」の容器の中に入っているのは生肉と野菜だ。成城石井では「生から惣菜」シリーズを「レンジ調理品」と名づけて販売している。
スーパーの総菜はすでに調理済みであり、それを温めて食べるというのが常識だった。しかし、成城石井のレンジ調理品は生の食材をプラスチック容器ごと電子レンジで煮込んで調理する。調理済み総菜を再加熱するよりも生から加熱したほうがおいしいのは言うまでもない。また、野菜の場合は、茹でたり蒸したりするよりも、レンジで温めたほうが栄養価の残存率が高いというメリットもある。
スーパーでは使い捨てのアルミ鍋に生野菜や生肉が盛り付けられた「鍋セット」が販売されている。食材を買い集めてカットする必要がないことが長所だが、便利そうに見えて実はそうでもないのがこの鍋セットだ。アルミ鍋をガスレンジにかけて煮るが、均等に熱が伝わらないのでかきまぜ続けなければならない。その結果、具材がぐちゃぐちゃになってしまううえ、熱い汁をこぼしてしまうことも珍しくない。
一方、レンジ調理品は容器ごと電子レンジに入れて、スイッチを押すだけ。具材がぐちゃぐちゃになることはない。
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