「いかさまハリス」と罵るトランプ陣営の勝算 バイデン氏は「大本命」を副大統領候補に選んだ

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かくしてバイデン陣営は順風満帆にみえるけれども、いくつか不思議なこともある。本来は「副大統領候補は7月中に決める」と言っていて、それが「8月1日頃」になり、「8月第1週には」となって、結局、8月11日の発表となった。党大会における副大統領の指名受諾演説は、通常は2日目(8月18日)に行われるので、カマラ・ハリス氏は事実上、1週間で演説の準備をしなければならないことになる(その後の発表によれば、カマラ・ハリス氏の出番は8月19日水曜日の夜、バラク・オバマ前大統領の直前ということになっている)。

ここに至る過程で、バイデン氏は10日間で11人の候補者とZoom面接を行ったとのこと。特に最終盤には、オバマ夫妻が推すスーザン・ライス元国家安全保障担当補佐官が急浮上し、バイデン氏自身も迷いに迷ったようである。ただし「カマラ・ハリス氏が大本命」であることは、周囲には自明であった。その証拠に発表直後から、トランプ陣営が彼女を批判するビデオクリップを公表したのである 。

トランプ陣営はようやく攻め口を見出した?

「カマラ・ハリスは急進左派の大統領候補だった。バーニー・サンダースの社会主義的な医療プランに賛成。何兆ドルもの増税を主張して、ジョー・バイデンの過去の人種差別的な言動を非難した。有権者は彼女を拒絶。人々は賢明にも彼女のいかさまを見抜いたのだ」

「ところが間抜けなジョーはそのことに気づかない。彼は自分の政権を彼女に明け渡そうとしている。これでは急進左派の狙い通りになる。のろまなジョーといかさまカマラ(Slow Joe and Phony Kamala)。完璧な組み合わせで、アメリカにとって誤った選択だ」

民主党内では中道左派に属するハリス氏を、「実は急進左派だ」とレッテル貼りし、保守派の警戒心を煽るという手口である。どの程度、効果があるかは未知数だが、これまでバイデン氏の「ステルス選挙戦」に手を焼いていたトランプ陣営が、「華のある副大統領候補」の登場とともに、ようやく攻め口を見出したことになる。余計な話だが、トランプ陣営はきっと「スーザン・ライス編」も作っていたことだろう。それがどんな悪口であったか、ああ、一目見てみたい。

守勢に立つトランプ氏としては、今後はバイデン氏との直接対決に望みを託しているはずだ。大統領候補同士のテレビ討論会は3回行われる。そこで「バイデン氏、空白の45秒」みたいな事故があれば、情勢は一気に変わり得る。なにしろトランプ氏は天性のテレビマン。アドリブで相手を挑発するのはお手のものである。異例な年に行われる異例ずくめの大統領選挙。11月3日の投票日まで、いや、その後に至るまで目が離せない展開となりそうだ(本編はここで終了です次ページは競馬好きの筆者が週末のレースを予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい)。

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