何よりこれまで、バイデン選対には熱気が欠けていると言われてきた。そりゃあそうだ。上院議員を36年、副大統領を2期8年、あまりにも長い時間をワシントンで過ごしてきた77歳の政治家なんだから、まずもって面白い人ではないのである。
もっともバイデン氏としては、敢えて目立たない方がいい、と割り切っている節がある。2020年の大統領選挙は、現職トランプ大統領への信任投票となる。そして今のアメリカは、死者16万人を超える「コロナ敗戦」状態だ。経済だって、4-6月期GDPは実に前期比32.9%減、失業率も2ケタ台。だったら、挑戦者が下手に自己アピールする必要はない。トランプ大統領が勝手に自滅するのを待っていればいい。
そこでデラウェア州の自宅に籠って、「ステルス選挙」を展開してきた。人前にはなるべく出ず、地下室からテレビメッセージを送るのみ。逆にトランプさんは、やることなすことが裏目に出る展開。世論調査を見ると、今ではバイデン氏が大幅リードとなっている。
「過去の大統領選の常識」は通用せず?
もっともこの数字、どこまで信じていいかは疑問である。今年はつくづく異例の年だ。大統領選挙の夏には、かならずオリンピックが行われる。そこでアメリカ人アスリートの大活躍があって、それで国中が盛り上がる。それが終わると党大会が行われて、9月からは一気に選挙モードに突入する。それが選挙年のアメリカの常識であった。
しかるに2020年は、東京五輪は延期であり、党大会もバーチャルで行われる。バイデン氏も来週は、自宅からリモートで受諾演説を行うとのこと。過去の常識が通用しない選挙戦となることは間違いないだろう。
さて、カマラ・ハリス氏は、ジャマイカ系の父(経済学者)とインド系の母(医者)の間に生まれた移民2世だ。カリフォルニア州の検事総長を務め、2016年に上院議員に当選。上院司法委員会では、ジェフ・セッションズ司法長官やブレット・カバノー最高裁判事候補などが、彼女の質問にきりきり舞いさせられた。
また、第1回の大統領候補討論会では、ジョー・バイデン氏をやり込めたことは語り草である。年齢は55歳で、高齢のバイデン候補とのバランスも良い。ちなみに夫のダグラス・エムホフ氏は、エンタメ関連を得意とする弁護士で、夫婦の所得は合算で年間200万ドルを超えるという。
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