結果的に「結婚していない」40歳男性が語る本音 "対等な2人"がどうしても譲れなかった線

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自分が欠落した部分、満たされない気持ちをパートナーに埋めてほしい気持ちはわかる。人は思うほど強くはなくて、お互いが弱い部分をカバーし合えたら最高だ。しかし、あまりに一方が求め過ぎたとしたら、寄りかかられた方はどうだろうか。

一方、小野寺さん自身にも考える点はあるという。

「僕は気になることがあると衝動が止まらないんです。夜中だろうひらめいたら急にベッドから起きてパソコンで作業をしたり、夢中になったら台風警報よりもワインの勉強に集中する。朝じゃダメなの?と言われて自分でもそう思いますが、我慢するとストレスが凄いんです。子どもの頃から道路にチョークで絵を描き始めたら親が迎えに来てもテコでも動かなくて煩わせたと思います。だから一緒にいる人は大変だと思うし、結婚は向かないでしょうね」

別れを切り出したのは…

2人とも結婚願望は薄かった。しかし、パートナーとして5年間一緒に過ごした後、別れを言い出したのは翔子さんからだった。

「彼女はもっと自分に時間を使って欲しかったんだと思います。以前は週末ごとに会うのが当たり前でしたが、僕がワインや執筆にのめり込んでいくと、以前のようにはいかなくなった。土日はイベントや打ち上げ、平日は執筆活動に時間をさくようになって会う頻度も減りました。僕は元々彼女と会うのは月に1回でも全く問題ないですが、彼女は違う。それに異性と食事に行くことも、僕にとっては普通のことだけど彼女は理解ができない。

僕がすることに毎回文句を言われると、段々と一緒にいても気が重くなってくるし、自分の生き方を強制されてまで付き合うのは違うと思った。別れを切り出したのは彼女ですが、異論はなかったですね。付き合う上で一番大事なことって“お互いの距離感”が合うかどうかだと思うんです。僕らはそこが合わなかった。いくらでも相手に寄り添えるだろうという考えもあるかもしれないけれど、一番肝心なところが合わなかったと思います」

別れて3年が経った今、小野寺さんは翔子さんをどう思うか。

「感謝していますよ。やっぱり離婚から立ち直らせてくれたのは彼女だし、たくさん一緒に笑ったし泣いたし、濃密な時間を共有できたと思っています。誕生日や記念日は忘れましたが、”言葉“は残っているんです。彼女が発した言葉、何気ない会話がずっと心に残っています。

彼女との復縁はないですが、恋愛や結婚が嫌になったわけでなく、今後同じ距離感の女性と出会えたら結婚の可能性もあるのかなぁと最近はボンヤリ思うようになりました」

“一番大事なのは相手との距離感”。いくら趣味などで会話が弾んでも、距離感が合わない相手と一緒にいてもどこか気持ちに負担がかかってしまうだろう。特に年齢を重ねるほどそれぞれのペースはできあがっている。相手に寄り添うことは当然大切だが、自分が大事にしている生き方やペースを崩してまで一緒にいるのは幸せなのかどうか。あなただったらどう感じるだろうか。

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松永 怜 ライター

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まつなが れい / Rei Matsunaga

東京生まれ。千葉育ち。理学療法士として医療現場で10数年以上働いたのち、フリーライターとして活動。WEBメディアを中心に、医療、ライフスタイル、恋愛婚活、エンタメ記事を執筆。 好きな場所は甲子園と神宮球場。地方大会から高校野球の応援に行くことも。そのほかライブ鑑賞、アクリル画を描くことが好き。

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