「ぼったくりタクシー天国」に今起きている変化

流転タクシー第5回、アプリとコロナの"熱波"

マクタン・セブ国際空港前のタクシー乗り場(写真:筆者撮影)

「ヘイ、ジャパニーズ。タクシー!ベリーチープ!」

マクタン・セブ国際空港を出てタクシー乗り場に向かうと、大勢の客引きが声をかけてくる。彼らは外国人観光客を相手に少しでも高い料金で乗車させようという、いわゆるぼったくりタクシーだ。これはフィリピンに限らず、東南アジアの国際空港では見慣れた光景でもある。

現在では所定のタクシー乗り場で通常料金で利用できるタクシーが一般化され、事前にタクシーカウンターで指定料金を支払い乗車が可能となるなど、年々整備は進む。その半面、いまだカモを狙った客引きが途絶えることはない。

言い値は通常料金のほぼ倍額

3月初旬はセブでは乾季にあたるシーズンで観光客も多い。平日の22時を過ぎているにもかかわらず、わずか数百メートルを歩く間に、10人以上が交代で絶えず声をかけてくる。

通常であれば辟易する場面だが、取材となれば意味合いが変わってくる。彼らの言い分はすべて同じだ。

「ナウ、ベリー、トラフィックジャム」

つまり夜間で渋滞が激しく、通常料金のタクシーを利用するよりも固定料金でいくほうが割安だ、というのが彼らの主張だ。

言い値は750ペソ(約1610円)。交通渋滞があっても、初乗り40ペソ(約83円)のセブ島では、通常なら400ペソ(860円)程度で市内中心部には到着する。この差額分が彼らの取り分でもあり、仲介した客引きにマージンとしても支払われる。

声をかけてきた客引きにドライバーが200ペソ(約432円)を筆者の目の前で渡すという粗雑さは、その露骨さに思わず笑ってしまう場面でもあった。

数ある車の中から選んだのは、鼻歌を交じりに爆音でフィリピン音楽をかける陽気な運転手だった。清掃が行き届いたトヨタの4WD車を駆使し、聞けば主に東アジア系の旅行者やビジネスマンを顧客としているという。

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