紺野ぶるまが異色ネタの笑いにとことん拘る訳 大胆な発想で売れない芸人から抜け出した

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周りにいる芸人仲間を、全員敵だと考えてにらみつけていた。そして舞台袖でみんなのネタを見ては細かく研究を重ねた

『準々決勝進出おめでとう!!』

などとLINEが入っても

『は? 決勝行くし、ここでおめでとうとか言ってるんじゃないよ!!』

と怒って、いっさい返信をしなかった。

気づいたら、友達は全員いなくなっていた。

そして『R-1ぐらんぷり』の予選では、「絶対にウケるぞ!!」

と死ぬ気でボケた。

そして、3回戦で爆発的にウケた。

「最初のボケでドンとウケたときには、壇上で泣きそうになってしまいました。『R-1ぐらんぷり』は芸人の覚悟も評価されます。私が死ぬ気でやってるのが、見ている人たちに伝わったんだと思います」

そして、2017年『R-1ぐらんぷり』にて初の決勝進出を遂げた。

翌年の『R-1ぐらんぷり』でも決勝進出。

『女芸人No.1決定戦 THE W』では2017年、2018年、2019年と3年連続決勝進出するなど、賞レースの決勝の常連になった。

「その頃からやっとお笑いだけで食べられるようになりました。テレビ出演はそんなに多くないですけど、営業に呼ばれる機会が増えました。企業の忘年会や、公営賭博の余興に出演しています。ただ新型コロナの影響は大きいので、先行き不安ではありますね」

賞レースの決勝の常連にはなれた。だが、いまだに優勝はできていない。決勝ではむしろ最下位になってしまうことが多い。

準決勝はいいが決勝では結果が出ていない

「賞レースでは準決勝のときがいちばんウケるんですよ。決勝では肩に力が入りすぎているというか、思いが強すぎて空回りしてるのかもしれないです。このまま熱を帯びてお笑いを続けても優勝はできないかもしれない。ちょっとクールダウンしないとダメかもしれないな、と思いました」

実は昨年まで、

「死んでも決勝に行く!!」

という、戦闘モードは続いていたという。

ここのところ、やっと落ち着いたと紺野さんは語る。

「昨年になって本の執筆の仕事をいただいたり、エッセイや脚本の仕事をいただいたりして、書く仕事も楽しいなと思うようになりました。視野を広げるのも大事だと感じています。

「書く仕事も楽しい」と語る紺野さん。先日『下ネタ論』を上梓した(筆者撮影)

少し熱を冷まして、また賞レースで優勝を目指したいと思ってます。そうしたら、スルッと優勝できたりして? と考えたりしています。

今後は、例えば同じ松竹芸能の大先輩である笑福亭鶴光師匠とからませてもらって、下ネタという日本の伝統芸能を育んでいけたらいいなとも思っています」

紺野さんは、

「少し熱を冷まして……」

「お笑いに固執するのは少しやめて……」

と口では言っているのだが、お笑いの話をするときの目はとても情熱的だった。

一度決めたことは何があっても譲らない、強さを感じた。そして依然として、彼女の中の戦闘モードは続いているように見えた。

下ネタも、賞レースも、そして新たなる試みも、これからの紺野さんの活躍に期待したい。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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