東武、「SL2機体制」で試される日光戦略の勝算 「SL大樹」日光へ、鬼怒川線は来夏から毎日運行

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東武にとってSLが2機体制になるメリットは大きい。1機だけの場合は、大きな検査になると長期間運行ができなくなってしまう。実際に、埼玉県の秩父鉄道が熊谷―三峰口間で運行する「SLパレオエクスプレス」は全般検査のため、2020年はSL運転ができない。

鬼怒川を渡るSL大樹(記者撮影)

SLが2機あれば、一方が検査に入っても、もう一方を使って運転が継続できる。また、東武は今年6月6日のダイヤ改正で大樹をSLとDLによる牽引がそれぞれ2往復の1日計8本とした。新型コロナウイルス感染拡大の影響で現在はSL2往復のみとなっているが、2機体制になると4往復すべてをSLで運転することが可能になる。

東武の広報担当者は「日光・鬼怒川エリアへ行けばいつでもSLを楽しめる環境を整えられた」と強調する。207号機は2021年1月から夏頃まで中間検査に入る。その後、325号機とともに鬼怒川線で毎日運転を始める計画となっている。

3機体制で広がる可能性

本来、2機目としてデビューする予定のSLは別にあった。もとは滋賀県の江若(こうじゃく)鉄道(1969年廃止)などで使われ、引退後は日本鉄道保存協会が静態保存していたC11形だ。譲り受けて2018年11月に南栗橋車両管区へ搬入した。

復元して走らせる予定のC11形機=2018年11月(撮影:尾形文繁)

今年冬までに運転ができる状態に復元することを目指していたが、修繕箇所の多さや新型コロナの影響で工程が遅れているといい、完成めどを2021年冬に延期した。復元作業が終了すれば東武が運行するSLは3機となる。

同社日光・鬼怒川エリア営業推進部の小金井敦課長は「複数機となれば他路線への出張運転も視野に入ってくる」と語る。鬼怒川温泉より先の会津方面への乗り入れや2機のSLによる重連運転といった活躍の幅が広がりそうだ。一方で「アイデアはあるものの、いずれも技術的な問題などをいくつもクリアしていく必要がある」と慎重な姿勢を示す。

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