ホンダの「最新スーパーバイク」正統進化の凄み

「CBR1000RR-R」は完全新設計モデルで発売

開発の狙いはずばり「サーキットで本領を発揮するマシン」。こういった市販車の場合はとかく「公道での扱いやすさを……」などとメーカー広報担当から聞かされるのだが、先に述べられた「サーキットで本領を発揮」という表現は、ホンダとしては異例とも考えられる。

さて、今回試乗が叶ったのは、MotoGPの開催地でもある栃木県のツインリンクもてぎだ。雨期の合間に見せたドライコンディションのお陰で、コースインに不安はない。今流行のトラクションコントロールやコーナリングABSに加えてエンジンブレーキの利き具合、オーリンズ製の前後電子制御サスペンションは、開発エンジニアとテストライダー氏のおすすめ設定で走り出すこととした。

安定志向のハンドリングにウルトラスムーズなエンジン

コースイン直後、すぐに気がついたのが、ハンドリングの手応えであった。今までのCBR900RR時代の延長であった「軽快感」を表現する味付けではなく、しっとりとしたハンドリングに好感が持てる。このあたりからも、市街地での取り回しより高速領域での安定感に重点が置かれていることがわかる。

等間隔爆発エンジンの振動は限りなく小さく、ウルトラスムーズだ。1速でレブリミッターが作動する1万4500回転まで回すと、速度計は180km/hを超えている。

しかも、その加速感は7000回転で変貌し、まるで等間隔爆発2ストローク500ccエンジンを搭載したかつてのWGPマシンのようだ。2速から3速とシフトアップしても加速が衰えることはなく、手応えのあるハンドリングに任せて、あっという間にツインリンクもてぎの最高速付近まで走らせることができる。

「CBR1000RR-R FIREBLADE SP」の筆者による試乗風景(編集部撮影)

前モデルに比べ、ホイールベースを45mm延長した1455mmとし、スイングアーム長も30.5mm延長。エンジン搭載位置を33mm後方にし、16mm上げたことで、50:50と理想的な重量配分を実現している。

さらにキャスター角やトレールを増やしたことで、従来モデルに比べて、ライダーとマシンの親和性が高まった。それらは、最高速付近からのフルブレーキングが要求される、もてぎ名物のダウンヒルコーナーやV字ヘアピンでの挙動からも感じることができる。

一方、もてぎの高速S字での切り返しでは、安定志向の「重さ」も感じずにはいられないものの、不安定な挙動がない分、ライダーとしては安心して攻めていけると考えるべきだろう。このあたりのフィーリングは、MotoGPで開発が進むウイングレッドをはじめとした空力デバイスの整流効果が、大きく貢献しているといえる。

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