ホンダの「最新スーパーバイク」正統進化の凄み 「CBR1000RR-R」は完全新設計モデルで発売
この日のために準備されたピレリのサーキット用コンパウンドタイヤと相まって、トラクションコントロールは秀逸な仕事をしてくれる。
1速で走るヘアピンコーナー立ち上がりでは、1万回転付近で何とかリアタイヤを滑らそうと何度も意地悪なスロットルの開け方にトライするものの、白煙を上げるには至らなかった。前モデルでは、いとも簡単にスライドまで持っていけたが、今回はトラクションコントロールに完敗であった。
コーナー出口のウイリーコントロールも見事で、わずかにフロントタイヤが浮くか浮かないかといった状態でも、1速→2速→3速と足早に加速が可能。このあたりも、MotoGPでの制御技術が生かされていると感じるところだ。
しかし、いいことばかりではない。エンジン出力160kWは、馬力換算で217.539馬力となる。市販車トップクラスの馬力で等間隔爆発エンジンとくれば、異次元の加速である。
1速のギアレシオが高速よりなのは、加速騒音規制への対応だと思われるが、この設定ですらサーキットでようやく使えるというもの。さらには、各種電子制御デバイスのおかげで、そのエンジン出力とブレーキ性能をフルに使えることから、ライダーとマシンの親和性、トータルコントロール性の高さは達成しているといえる。しかし、それだけに、ライダーのライディングスキルとフィジカル面は問われることになるだろう。
異次元の加速と安定した減速性能が、ライダーに新しい世界を見せてくれたサーキット走行であった。
性能は異次元だが市街地ではジェントルな一面も
一方、市街地での走行では、違う表情を見せてくれた。エンジンの回転さえ上げなければ、振動が少なく唐突な加速もないジェントルなマシンに早変わりだ。
トラクションコントロールとパワーモードの詳細は割愛するが、どのモードを選んでもスロットル開度が小さくエンジン回転を上げない状況では、大きな違いを感じない。従来よりも左右の絞り角度が広げられたハンドルは扱いやすい印象で、ライダーが入力しやすくなった。
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