日産の内田社長は、本当に「クルマ好き」なのか 過去のトップはクルマの話が少なかったが・・・

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「どうやって人をワクワクさせるかっていうことを、技術で考える。日産のエンジニアの誰に聞いても、そう言うんですね。そういうところを必ず日産のクルマに乗っていただければ、感じていただけると思うんです」

「アリア」発表会に登壇する星野副社長(写真:日産自動車)

日産には誇れる技術がある。それをうまくマネージメントしていけば、必ず多くの人に“ワクワク”を提供でき、ブランドの復活に繋げられる。彼らはストレートにそう考えている。

アライアンスだコミットメントだというのも今の時代には大事なことだが、その前にまず自動車会社が何をやるべきなのかに立ち返ろうとしているのが、内田社長兼CEO率いる新しい日産なのかもしれない。

ただし“ワクワク”というだけでは、ちょっと抽象的だ。それがどんな“ワクワク”なのか知りたいと思ったのが、冒頭の質問をしようと考えた契機である。

「クルマは自分の一部だという気持ちは、やはり大切だと思っていますし、日産自動車の社員個々は、皆そう思ってます。“日産はまだこんなもんじゃない”って必ず言っちゃうんですけど、やはりお客様の『日産車でよかったよね』『やっぱり日産だよね』っていう言葉を聞きたい。日産のクルマやスポーツカーは本当に乗ってそれを体験できるクルマ。それが日産のいいところだと思いますし、それをどんどん伸ばせるようにしていきたいと思います」(星野氏)

再び「愛されるメーカー」になれるか?

いつ以来か思い出せないほど久々のカーガイ社長兼CEOを得た日産が、少なくともそのクルマづくりにおいて、これまでのようにファンを失望させることはなくなるだろう。それにNISSAN NEXTで掲げられたような、経営面の大胆な選択と集中が伴えば、日産は単に収益が改善するだけでなく、愛される自動車メーカーとして復活できる可能性も十分にある。

日産はまだまだこんなもんじゃない………、技術の力でこれから日産が何を見せてくれるのか。どうワクワクさせてくれるのか。注目だ。

島下 泰久 モータージャーナリスト

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しました・やすひさ / Yasuhisa Shimashita

1972年生まれ。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。走行性能からブランド論まで守備範囲は広い。著書に『間違いだらけのクルマ選び』(草思社)。

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