日産の内田社長は、本当に「クルマ好き」なのか 過去のトップはクルマの話が少なかったが・・・

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率直に言うと、アリアのプレゼンテーションでこのクルマの楽しさについて話をする際に「加速がフェアレディZよりも速い」という表現をされたときには、若干の不安を覚えていた。クルマの楽しさは速さではないし、今どき速さがクルマ好きを自認する人にもそうでない人にも、アピールになるとは思えない。このあたりはスピーチライターに問題アリと言うべきかもしれない。

一方、こうしてわりとくだけた雰囲気で内田氏と話していて感じたのは、日産の技術陣、開発陣の底力を信じているんだなということだった。内田氏だけでなく星野氏も、である。

筆者がぶつけたもう1つの質問

「アリアは日産車の魅力がすべて詰まったクルマだということですが、このクルマで、あるいはその他のクルマででも構いません。日産はモビリティの世界に、あるいは社会全体に、クルマ好きに、どんな体験をもたらしたいと考えているのですか。端的に言って、数あるメーカーの中から日産車を選ぶことで、ユーザーは何を得ることができるんでしょうか」

実は先の質問の前、グループインタビューの冒頭で筆者はもうひとつ、こう質問していた。日産の技術陣への厚い信頼を感じたのは、それに対するふたりの回答だ。

内田氏は「アリア」について「ワクワクする日産の新しい扉を開きます」と説明する(写真:日産自動車)

「日産のクルマの魅力。僕は、それはワクワクするクルマだと思うんですよね。乗って楽しいクルマ。日産は技術があります。その技術も、例えば何も自動運転とか環境のためだけではなく、“人”のためなんです。やはり、人によろこんでいただけること。もっと言うと、乗ってるときも乗ってないときも人々に貢献できるクルマ。

電気自動車でいえば、乗ってるときはもちろんワクワクしたドライビング性があり、乗ってないときはこれ蓄電池になるわけですよね。したがって、家の電気の供給だったり災害時の電力の供給もできる。

クルマが本当にお客様の一部になれるというのが、日産らしさだと私は思っています。その価値をこれからも引き続き提供していきたい、どんどん進めていきたいと思っています」

内田社長兼CEOはこう言う。それを受けて星野氏が、こう付け加えた。

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