日産の内田社長は、本当に「クルマ好き」なのか 過去のトップはクルマの話が少なかったが・・・
「就任以来、事業のお話ばっかりでしたんで、そういった個人的なクルマに対する思いをなかなか皆さんにお話しできる機会がなかったんですけども、私もクルマ大好きです」
実際のところどうだったのかはハッキリとはわからないが、前体制までの日産社内では、トップや役員がクルマ好きを公言するのは好ましくないという空気があったとも言われている。
それだけに明快な回答に、まずは嬉しくなったというわけだ。しかも、さらに突っ込んで聞けば、その“好き”の度合いは相当なものだった。
「僕はずっと個人的にはクーペのマニュアル(ギアボックス)が好きで。マニュアルのクルマは、自分が運転している、身体の一部という感覚が、とても強い。その点では今でもマニュアルが好きです。一方で電気自動車も好きで、ここのところはずっと電気自動車とマニュアルのクルマというコンビネーションできています。
クルマは自分のアイデンティティだという気持ちがとても強くて、単なる移動手段ではないんです。私を象徴するものだと言っていいなと。すみません、私の年代からは、そういう話にすぐなるんですけども、(クルマは)本当に自分なんです」
実際に内田CEOは、趣味のクルマについては自らの手で塗装まで手がけるなど、整備を自身で行い、ユーザー車検を通しているのだという。それを、販社に整備などすべてまかせている電気自動車と併用しているというのである。
リップサービスだったカルロス・ゴーン
これまで日産自動車の動向を追いかける中で常々感じていたのは、前任の西川廣人CEOや経営陣が、会社運営や市場の話はしても、クルマそのものの話をほとんどしてこなかったことだ。日産車とはどんなクルマで、どんな幸せ、喜びをもたらすものなのか。そんな説明を彼らの口からは、ついぞ聞いたことがない。
さらにさかのぼれば、カルロス・ゴーン氏はCEO就任時にこそ自らはカーガイであると喧伝していたが、次第にそんな話をすることはなくなっていた。そういう匂いを感じさせたのは、「GT-R」や「フェアレディZ」を復活させた、就任から数年の間だけだったと言っていい。
「それ、知りませんでした。ユーザー車検ですか!?」
思わず、隣の星野副社長がそう言った。経営会議だなんだで幾度となく顔を突き合わせてきていても、これまでそういう話をすることはなかったのだろう。外野から見たイメージとしても、そんな会話になりそうには思えかったのは事実である。
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