いま世界で「歴史問題」が炎上している理由 植民地主義忘却の世界史とグローバル化の背景
日韓で炎上する歴史問題
先日、韓国のとある植物園に、「慰安婦」像の前で土下座する安倍首相とおぼしき男性の彫像が設置されました。ご存じのように、「慰安婦」問題は、日韓関係の悪化を象徴的に示す歴史問題です。
「永遠の贖罪」と銘打ったこのオブジェ。日本のメディアに激震が走りました。たしかに「挑発的」だったとはいえ、隣国の一私人の行動に、官房長官のコメントまで飛び出す騒ぎです。「嫌韓」メディアは相変わらずで、隣国を罵ることに余念がありません。「『慰安婦』は売春婦」とか、「韓国併合であって、植民地支配ではない」といった類いの話は、いまだに後を絶ちません。
日本には、戦争や植民地支配の責任問題はもう解決したと見る風潮がありますが、そんな理屈は韓国には通じません。国家間の事情で過去を「解決済み」と処理したところで、被害や苦しみを受けた人々の記憶や事実それ自体は、決して消え失せることはないからです。
そう遠くない昔に、日本はアジアを侵略し、植民地支配を行いました。その過去をめぐる「歴史認識」の違い、そこにあった加害の事実を否認する歴史修正主義の問題です。
その根底にあるのは、〈足を踏んだ側はすぐ忘れるが、踏まれた側は忘れない〉という、私たちの誰もが抱くはずの、ごく当たり前の心情です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら