ジャフコ社長「今はベンチャー投資の好機だ」 リーマンショックとコロナ禍の決定的な違い

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――旅行など、コロナ禍でダメージが深い産業を手がける投資先では業績が厳しいのではないですか。

ふうき・しんいち/1961年生まれ。鹿児島県出身。1985年に早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現ジャフコ)入社。2002年第二投資グループオフィサー。2005年に常務取締役就任、専務を経て2010年より現職(記者撮影)

旅行、アウトドア関係、あるいは巣ごもり需要で停滞しているようなtoC(消費者向け)の事業は影響を受けている。

(ジャフコの)投資先はベンチャーだけでざっと110社ぐらいあるが、一番落ち込んだのは4月だった。5月も落ち込んでいて、5月の後半からちょっと上がってきている。4月だけみると、3月に比べて売り上げが減った企業が6割あった。

一方、残りの4割は売り上げを維持しているか、逆に伸ばしている。対前年で見ても、昨年4月よりも売り上げが減少した企業は4割弱で、この4月は昨年よりも売り上げが増えたという投資先が6割ある。簡単に言ってしまえば、まだ売り上げが立ち始めたばかりなので、成長余力が高いからこういう現象が起きている。

有望な投資対象は減っていない

――スタートアップの側からの資金需要はどうですか。

調達額は結果的に絞られていく、ただし、デジタル化の中でそれ相応の資金を立ち上げ(事業展開)でドカンと投入していかなきゃいけない。今まで30億円集めていたところが「3億円しか集まりません」という感じではなくて、今まで20億~30億円集めていたところが10億円、20億円で次のラウンドまでしのいでいくという感じだ。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

金融危機直後は起業される方が極端に減った。お金も集まらないし、マインドも冷え込んでいた。すでにあったスタートアップも慎重になり、本来は資金調達をするべきなのだが、なかなかそこに至らなかった。

今回は起業に対する若い人たちの気持ちが全然冷えていない。そういう意味では「起業マインド」というものが定着してきたなと思う。

彼らからしても競争環境が激しいので、いち早く資金調達して、頭1つ2つ抜けたいはずだ。私どもから見て有望な投資対象が減ったとか、あるいは、資金需要が停滞しているということはまったくない。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版では、「投資先とのリモート会議のメリット、デメリット」「投資先であるエルピクセルの不祥事について」「今後の投資先で注目している分野」などについても語っている。
梅垣 勇人 東洋経済 記者

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うめがき はやと / Hayato Umegaki

証券業界を担当後、2023年4月から電機業界担当に。兵庫県生まれ。中学・高校時代をタイと中国で過ごし、2014年に帰国。京都大学経済学部卒業。学生時代には写真部の傍ら学園祭実行委員として暗躍した。休日は書店や家電量販店で新商品をチェックしている。

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