見逃し配信「TVer」はYouTubeの敵になれるのか

株式会社化でテレビ局が挑む動画配信の成否

「株式会社TVer(ティーバー)」の誕生で民放テレビ各局は、新しいビジネスモデルを実現できるでしょうか(写真:ナオ/PIXTA)

「TVer(ティーバー)」を知っている人は、読者の中にどれくらいいるのだろう。「TVer」は、民放テレビ局が連携して運営する、テレビ番組の見逃し配信サービスだ。MAU(マンスリーアクティブユーザー)数は1000万を超え、すでに認知率は62.3%に達している。在京キー局と在阪キー局合わせて10局が制作するドラマやバラエティーを中心に、主だったテレビ番組が放送後一週間、無料で視聴できる。録画機がいらなくなる、テレビ好きには便利なサービスだ。

そのスタートは2015年10月。その前の一年以上かけて在京キー局の幹部が定期的に集まり議論して、スタートを決めたと聞く。ただし、TVerはスタートからいままでの5年間、「微妙な形」で運営していた。

TVerという会社があったわけではなく、在京キー局と電通博報堂など大手広告代理店の出資で、もともとあった株式会社プレゼントキャストが運営を委託されていた。だからTVer事業の主体者はプレゼントキャストではないが、番組を提供するテレビ局も主体者ではない。言わば、主体者がいない形で事業を進めてきたのだ。

それがようやく、今年7月1日に株式会社TVerが誕生した。プレゼントキャスト社に在京キー局各社が合わせて数十億円規模の増資を行い、名称を変更。各社から取締役をおくりこんだのだ。

TBSの龍宝正峰氏が株式会社TVer社長に就任

代表取締役社長は、TBSから来た龍宝正峰氏。同氏は5年前のスタート時も5社を代表するTVerのスポークスマン的存在だった。だからTVerが株式会社化するにあたり、龍宝氏の社長就任は誰しも納得したはずだ。「会社」となり“社長“の顔をはっきりさせたことは、「TVerをぐいぐい成長させたい」とのテレビ業界の思いの現れだと思う。

その龍宝氏に、Zoom(オンライン通話)を通してだがじっくりお話を聞けた。同氏の言葉から浮かび上がるテレビ局の新しい姿を描いてみたい。若者のテレビ離れが言われて久しいが、果たしてTVer株式会社化はテレビが生まれ変わるための一手として間に合ったのか?遅すぎたのか?

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