キヤノン、「どん底」カメラ市場に希望抱く理由 オリンパス撤退「何が起きてもおかしくない」

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――6月にオリンパスがカメラ市場から撤退すると発表し、医療事業に注力する方針です。今後、業界再編が進むとみられますが、キヤノンはどういう姿勢で臨みますか。

業界再編についてはなんとも言えない。ただ、各社も生き残りで必死になっている面があり、何が起きてもおかしくない。

また、(キヤノンとしてカメラ事業からの撤退は)考えたことはない。カメラで培った光学技術は、複写機や産業機械、医療機器などで展開しているキヤノンの得意技術分野として重要であり続ける。カメラ事業が縮小しても、開発するために使われているリソースの活用先は十分にある。

カメラを使う場面が広がった

――キヤノンは一眼レフカメラでは業界トップですが、ミラーレスカメラではシェア41.8%のソニーの後塵を拝し、シェア23.8%と出遅れています(数字は2019年の生産台数、テクノ・システム・リサーチ調べ)。

とくら・ごう/1958年生まれ。1982年キヤノン入社。同社カメラ開発センターカメラ第一開発部長、ICP第二開発センター所長などを経て、2016年から執行役員兼イメージコミュニケーション事業本部長。2019年4月から常務執行役員兼同事業本部長(撮影:尾形文繁)  

そのような状況を打破する役割を、7月に発売した今回の新機種が担っている。(ミラーレスで首位をとれない)さまざまな要素があった。商品力の問題もあれば、マーケティングに原因があったかもしれない。

ただ、ミラーレスカメラでもボリュームをしっかり出してきて、シェアをとりつつあるのは間違いない。7月発売の新機種「EOS R5」はデジカメとして世界初となる8K動画撮影機能で映像との親和性に一歩踏みこんだほか、毎秒約20コマの連写など世界一のスペックを備え、相応の機能アップを果たした。

――スマホカメラの性能が向上し続けているうえ、新型コロナで外出する機会も減り、デジカメの需要がさらに落ちています。

コロナ後の「新常態」とどのように向き合っていくべきなのか。「週刊東洋経済プラス」では、経営者やスペシャリストのインタビューを連載中です。(画像をクリックすると一覧ページにジャンプします)

在宅でビデオ会議するのが一般的になり、ウェブカメラの存在が急に身近になった。これまでカメラは外出して使うものだったが、家の中でも使うようになった。使う場面が広がり、カメラに従来と違う魅力づけや付加価値が生まれている。

ウェブカメラのように用途を特化したもの以外に、屋外でも屋内でも使えるオールマイティーな製品の展開も重要になるだろう。デジタルカメラの交換レンズシステムは使い勝手を広げるためのものだったが、屋内でウェブカメラとして使うときは広角系を使い、外では望遠系のレンズを使うこともありえる。

「週刊東洋経済プラス」のインタビュー拡大版はこちら
劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

東洋経済編集部員・記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。現在は、特集や連載の企画・編集も担当。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。早稲田大学台湾研究所招聘研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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