ユーロ急騰をもたらしたのは「ドルの過剰感」 アメリカの財政拡張は円などの上昇も招く

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当面の為替相場について、「アメリカの財政赤字・対GDP比率上昇に伴ってドル相場が下落」することを前提にするのであれば、「ドル相場の方向感」を議論するよりも、「ドル売りの受け皿は何になるのか」を考えるほうが賢明である。

先に言及したようにIMM通貨先物取引で投機筋のポジションを見る限り、すでにユーロ買いはあまりにも早く、高く積み上がりすぎているように見受けられる。もちろん、「買われすぎているから売られるはず」という見方は粗すぎるが、ユーロが世界有数のマイナス金利通貨であることを踏まえれば、「ここからのユーロ上昇は急落と背中合わせ」ということは認識しておきたい。

他通貨も上昇へ、年末1ドル100円もありうる

片や、円の買い持ち高は穏当な水準に押さえられており、カナダドル、豪ドルといったその他主要通貨に至ってはまだ売り持ちされている。であれば、ユーロ以外の通貨にドル売りが波及してくる展開に身構える局面だというのが筆者の立場だ。

事実、ユーロ買いのペースが徐々に落ち着く中で円相場も連騰しており、1ドル=105円台で値固めしようという雰囲気になりつつある。相応の調整をこなしてからでないと、その大台には届かないとは思われるが、筆者はユーロドルが年内に1.20へ手をかける時間帯があっても不思議ではないと考えているが、その際にはユーロだけではなく円高も100円近辺まで進んでいるはずである。

※本記事は個人的見解であり、筆者の所属組織とは無関係です

唐鎌 大輔 みずほ銀行 チーフマーケット・エコノミスト

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からかま・だいすけ / Daisuke Karakama

2004年慶応義塾大学経済学部卒。JETRO、日本経済研究センター、欧州委員会経済金融総局(ベルギー)を経て2008年よりみずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)。著書に『弱い円の正体 仮面の黒字国・日本』(日経BP社、2024年7月)、『「強い円」はどこへ行ったのか』(日経BP社、2022年9月)、『アフター・メルケル 「最強」の次にあるもの』(日経BP社、2021年12月)、『ECB 欧州中央銀行: 組織、戦略から銀行監督まで』(東洋経済新報社、2017年11月)、『欧州リスク: 日本化・円化・日銀化』(東洋経済新報社、2014年7月)、など。TV出演:テレビ東京『モーニングサテライト』など。note「唐鎌Labo」にて今、最も重要と考えるテーマを情報発信中。

※東洋経済オンラインのコラムはあくまでも筆者の見解であり、所属組織とは無関係です。

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