感染者ゼロ続くタイで自殺者が増えている皮肉 なぜ感染者・死亡者が少ないのかも不明

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タイでは新型コロナウイルスの感染拡大はみられないが、観光業に依存しているため、経済に大きな打撃を受けている(写真:ロイター/アフロ)

なぜ、タイではそれほど感染が広がっていないのか。本当のところは誰にもわかっていない。

タイの文化に根付いているソーシャル・ディスタンスのためだろうか。タイではあいさつをするときには「ワイ」という祈るような動きをし、ハグをすることはない。そのために、感染の増加を防げているのだろうか。

7月半ば時点で7週間感染者なし

タイでは早期からマスクを着用するようになり、医療システムもしっかりとしている。それがウイルスによる影響を鈍らせているのだろうか。あるいは、戸外で過ごすことが多いライフスタイルのためか、はたまた、既往症を持つ人が比較的少なかったためか。

それとも、タイやほかのメコン川流域の人たちの免疫システムでは、何らかの遺伝的要素が、コロナウイルスに強い抵抗力を持っているのだろうか。あるいは、こうした複数の要素がうまく組み合わさって、タイ国民7000万人を守っているのだろうか。

1つ確実に言えることがある。タイでは今年初めのうちは海外からの訪問者も多く、新型コロナウイルスの感染が広がった地域からも訪問があったが、それでも感染者数は3240人以下で、死亡者数は58人にとどまっているということだ。7月16日の時点では、すでに約7週間、国内での感染が記録されていない。

メコン川流域のほかの国々も、タイと同様に感染率が低い。ベトナムは新型コロナウイルスによる死亡者数がゼロで、約3カ月の間、国内での感染が見られていない。また、ミャンマーで確認された感染者は336人、カンボジアは166人、ラオスはわずか19人だ。

メコン川上流域の中国の雲南省では、これまでに確認された感染者数は190人以下だった。いま実際に感染している人はいない。

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