吉村洋文「勇気こそがリーダーに最も重要だ」 注目の大阪府知事がコロナ禍の対応を総括する

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この推移で行ったら、医療体制が持たなくて、さらに爆発拡大する。「非公開」というのは、ちょっと違うのではないかと思った。松井一郎大阪市長(日本維新の会代表)にも説明はしました。松井市長からも「公開すべきと思わへんか」という話があった。僕も「公開すべきですが、僕と松井さん以外は全員、非公開で動いています」と説明した。

吉村洋文(よしむら・ひろふみ)/2015年10月1日に衆議院議員を辞し、橋下市長の後継として、同年11月22日 大阪市長選に当選。2019年4月に大阪府知事選に当選。弁護士の資格を持ち、家族は、妻と息子、双子の娘をもつ父でもある。座右の銘は「意志あるところに道は開ける」(撮影:ヒラオカスタジオ)

連休に入ると、人がわーと動く。海外からもたくさん人が帰ってくる。根回しをしたら、往来ストップの方針そのものが潰される可能性もある。根回しすることによって決定が遅れ、仮に合意ができても、連休前ではなく、かなり先になります。そうなったら遅い。松井市長と「僕らの政治判断で行こう」ということになり、オープンにしました。だから、そのときに井戸さんには相談はしていないです。

塩田:兵庫県知事への連絡は根回しの部分に入るわけですね。

吉村:そうです。兵庫県知事に相談したら、非公開文書ですから、「国に相談しよう」となりますよ。国に相談したら、ちょっと待てとなるのは目に見えています。根回しする政治は、いい面もありますが、やるべきことが潰される可能性が非常に高い。

平時はいいと思いますが、緊急時は、資料があるなら、府民、県民の皆さんとの共有を優先させたほうがいい。1本、電話してもよかったのでは、と言われますが、電話したら当然、そこから協議が始まります。電話を受けたほうも、責任が生じます。非公開文書を「OK」と言えるわけがない。各方面の全員のコンセンサスを得るのは、かなり時間がかかる。それで、オープンにするという政治判断を行ったわけです。

塩田:安倍晋三首相は5月の連休明けから緊急事態宣言を段階的に解除することを決め、政府は25日に47都道府県で全面解除しました。解除の見通しが不透明だった5月5日、大阪府は政府やほかの都道府県に先駆けて、特別措置法に基づく休業と外出自粛要請の段階的な解除に向けた独自の基準、いわゆる「大阪モデル」を打ち出して注目を始めました。

感染拡大防止と社会・経済の両立を目指すように

吉村:「大阪モデル」は僕自身が決断しました。5月1日、連休明けに解除の予定だった緊急事態宣言を連休後も延長するという方針を政府が打ち出したとき、社会・経済を元に戻さないと非常にまずいのでは、と思いました。感染が抑えられてきている傾向も把握をしていましたから、今後は出口戦略を作って、社会・経済の命を守らなければ、と延長の議論が出たあたりから自分の思考をシフトチェンジしていった感じです。4月の前半までは、大阪をニューヨークようにはさせないという気持ちが強かったけど、感染拡大防止と社会・経済の両立はできないのかという思考に変わってきました。

専門家会議で「延長せよ」という話になって、安倍総理も延長の方針を決めました。何の条件も示さずに1カ月程度、延長するという政府の方針を聞いたとき、ちょっと専門家会議の意見に振られすぎでは、と思いました。緊急事態宣言は5月6日までと府民にも一所懸命、訴えて、何とか1カ月で抑えると言ってきた。それが漫然と無条件に延長されると聞いて、感染者が減っているのに、ちょっと待てと思いました。

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