米国「コロナ患者情報」非開示になる懸念の背景 データがCDCを通さず政府に送られるように
病院側からは、以前の報告要件には手を焼いていた、との声も出ている。頻繁に変更されたりしたためだ。
「パンデミックの最前線での業務に追われる一方、報告に関する方針がしばしば変わるので、病院は行政上の煩わしい手続きと混乱に悩まされてきた」と、テキサス州病院協会の広報担当、キャリー・ウィリアムズ氏は電子メールでコメントした。
アメリカ各地で高まる懸念
シカゴのラッシュ大学医療センターで最高分析責任者を務めるバラ・ホタ教授によると、同病院ではパンデミックが猛威を振るうなか、4人の常勤職員に新型コロナのデータを4つの異なる機関に報告させていたという。同病院では100以上の異なる測定値を収集し、その中には連邦政府の様々なプログラムの下で受け取ることになる金額を決定するものもあった。
ホタ氏は、プロセスの合理化や、州と地方の機関が報告に関与することには賛成だ。ただし、パンデミックが発生して数カ月が経過した今になっても、患者を満床の病院から空きのある病院にスムーズに移動するのに必要な情報を集めるシステムが確立されていない点には懸念を募らせている。
「CDCはデータ収集で先頭に立つのに適した機関だ」とホタ氏は話す。
似たような懸念はアメリカの各地で上がっている。フロリダ州では、この春に発令された外出禁止令の解除判断に使われるデータの「改ざん」を指示されたとして、州保健局の元データ管理者が上司の1人を告発した。シャレイラ氏は、マイアミ・デイド郡のトップが「州のデータを気にするあまり、自身にも病院から直接データを報告させていた」ことを明かした。
またアリゾナ州は、感染者数の増加を予測した大学の専門家チームとの提携を打ち切り、アリゾナ州公衆衛生協会の事務局長でアリゾナ州保健サービス局の元局長でもあるウィル・ハンブル氏の反発を買った。
「信頼、説明責任、透明性、この3つ全部がそろわなければならない」とハンブル氏は言う。連邦政府の新システムについては「透明にしたほうが身のためだ。そうしないと、何か別の魂胆があると思われてしまう」と語った。
(執筆:Sheryl Gay Stolberg記者)
(C)2020 The New York Times News Services
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