「コロナが不安で生命保険に加入」という間違い 民間の生命保険で解消できる不安は少ない

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先進医療のうち年間実績の9割弱、3.3万件は手術に約55万円かかる「多焦点眼内レンズ」。2008年に先進医療に指定されてからすでに12年経つが、治療効果が確認されず、せいぜい眼鏡をかける回数が減る程度だと結論づけられて、今年4月に先進医療から外れ、保険適用はされず、全額自己負担となった(ただし技術料のみ保険適用)。

この動きの前に、支払い件数があまりにも増えたがために、先進医療の特約から除外する保険会社が出てきていた。

まず公的制度を確認

「コロナで収入が減るかも」「コロナで失業するかも」「コロナで体調を崩し、働けなくなるかも」という不安や悩みもある。確かに収入が減ったり、失業して収入を失ったりすれば家計には大打撃だ。そこでよくある誤解は「生命保険に入れば保障対象になる?」というものだ。

実際にはさまざまな公的制度や公的支援が利用できる場合がある。いずれも申請が必要だが、今回創設された特別定額給付金のほか、自営業者なら税や社会保険料の猶予、減免などを受けられる場合がある。給与所得者であれば、失業しても雇用保険の加入者であれば失業保険の対象となり、基本手当を受けられる可能性がある。働けなくなっても、コロナ感染症で会社を休むと最長1年6カ月間、日給の3分の2相当の傷病手当金が支払われる(国民健康保険に加入する給与所得者も対象)。医療・介護従事者等は労災の対象になることもある。

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一方で「就業不能保険」や「所得補償保険」といった民間の生命保険の場合、コロナ感染防止のための休業で収入がなくなった場合は保障の対象外だ。同じく民間生保の「収入保障保険」は休業や就業不能とは無関係だ。

「コロナ感染症で重体となり要介護となるかも」というのも、もっともな不安だ。そこで民間生保の「介護保険」が頭に浮かぶ人もいるかもしれない。しかし感染症の重症化で一時的に要介護状態になっても生命保険ではカバーされない。一方で、一定の障害が残ると障害年金や障害福祉サービスといった公的制度の対象となる。65歳以上の人は公的介護保険の対象になる。

最悪の場合、コロナ感染症で命を落とすかもしれない。民間の生命保険には、死亡したら保険金が支払われる「定期保険」などの死亡保険がある。ただ、すでに加入している人が追加で同保険に入ったり、保障額を上げたりする必要はなさそうだ。死因が何であれ、死亡した場合の経済的リスクは変わらないからだ。また、新たに加入する必要もないかもしれない。公的な遺族年金のほか、死亡退職金、弔慰金などの給付を勤務先から受けられることもあるからだ。

コロナで不安な今だからこそ、改めて公的保障や支援について知るとともに、民間の生命保険の本質を見極めて、保険料の重い負担に耐えかねて虎の子の貯蓄が増えない、下手をしたら減ってしまう悪循環に陥らないようにしたいものである。

『週刊東洋経済』7月25日号(7月20日発売)の特集は「生命保険の罠」です。
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