社員は会社に「不公平や差別」を問いただせるか セールスフォースCEOが葛藤する社会的責任

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どんなに成功している経営者でも、倫理的な会社であるかどうか、つねに問い続けるべきである(写真:LeoWolfert/iStock)  
創業20年で従業員数5万人。世界最大の顧客管理(CRM)ソフトウェア企業であり、GAFAに並ぶ巨大IT企業であるセールスフォース・ドットコム。
同社のユニークな、成長と社会貢献を両立させるという企業文化を、創業者マーク・ベニオフ氏が生い立ちから企業理念、社会への思いからつづった『トレイルブレイザー 企業が本気で社会を変える10の思考』の日本語版がついに7月31日に発売される。本書の魅力を、経営共創基盤の塩野誠氏にいち早く解き明かしてもらった。

「ロックスター経営者」の社会への意識

「企業は倫理的であるべきか?」
「経営者は政治的発言を回避すべきか?」

『トレイルブレイザー 企業が本気で社会を変える10の思考』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

本書は営利企業や経営者に対して、倫理や政治との距離という極めて現代的な問題を突きつける。そして本書はMBA的な教科書、ノウハウ本ではなく、自ら起業したセールスフォース・ドットコムを、時価総額15兆円を超える世界的企業にしたマーク・ベニオフ氏の個人的な葛藤を一人称で記したものである。

マーク・ベニオフは、サンフランシスコ市のイベントなどで登壇する姿を何度か見たことがある。確かそのときも、サンフランシスコ市の地域コミュニティーに対する貢献の話をしていた記憶がある。

また、日本ではX JapanのYOSHIKI氏と親交があることでも知られ、イベントで両氏が対談し、YOSHIKI氏がピアノを弾く姿を見たことがある。ベニオフは大柄な体にヒゲ面という愛嬌のあるクマのようなルックスのエグゼクティブである。

そのベニオフは会社がどれだけ大きくなろうとも、製品の1%、株式の1%、就業時間の1%を慈善事業目的に使う「1-1-1フィランソロピー・モデル」を掲げてセールスフォースを経営してきた。

しかしながら、現実世界では「正しくあろう」とすると、さまざまな局面に遭遇する。

現在は企業経営者であろうと、一従業員であろうと、一顧客であろうと、ツイッターやフェイスブックのようなSNSでいつでも声を上げることができる。ある意味でフラットな土俵で、誰もが向き合わざるをえない世界である。

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