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社員は会社に「不公平や差別」を問いただせるか セールスフォースCEOが葛藤する社会的責任

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  • 塩野 誠 経営共創基盤(IGPI)共同経営者/マネージングディレクター JBIC IG Partners 代表取締役 CIO
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従来、日本企業はメンバーシップ型雇用と言われ、どちらかと言えば、「就社」的な疑似家族を構成するものから、現在では若年層を中心に雇用の流動化が進んでいる状況である。

ベニオフが「オハナ」という疑似家族的な企業文化の共有に重きを置いている。これも経営スタイルの1つであり、良し悪しは読者にご判断いただきたい。

日々リアルタイムで迫られる企業の社会的行動

最後に、ベニオフがイースター島のビーチで休暇中に起きた大事件についてご紹介しよう。グローバルに展開する企業はもちろん、日本国内でビジネスを行う企業にとっても、センシティブであるべき人権問題に関わるイシューである。

日本でもトランプ政権がアメリカとメキシコの国境で繰り広げられる移民政策については話題になっていたことを覚えていることだろう。移民収容施設では移民の子どもたちが家族から引き離されているという報道がなされた。

そして、アメリカの税関・国境警備局はセールスフォースの顧客であったのだ。これは同社がトランプ政権の国境における移民政策を支援していることにならないのか? 4人のセールスフォース従業員がベニオフ宛に公開書簡を送ったというのだ。

そこには867人の署名が添えられていた。実際には国境警備局が使用していたソフトウェアはHR管理機能の刷新と業務の一部自動化のためであり、移民の子どもたちとは関係がないものだった。しかしながら、「政治」はヒートアップしていったのだった。

同様の問いをされたら、あなたの会社はどう動くだろうか? 経営陣は何と言うだろうか? 世の中では毎日のように企業の炎上事件が起きている。人の命に関わることはもちろん、あらゆる分野で企業の社会的責任が問われている。

もちろん、間違うことはいくらでもあるが、その対応次第では顧客を失うこともある。これだけSNSが当たり前になった世界では、普段は饒舌な企業や経営者が、不祥事を前に沈黙は許されない。

莫大な富と名声を手に入れた起業家が「私たちは倫理的な会社でしょうか?」と問われ、悩んだ記録として本書は一読に値するだろう。

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