JAL年金問題の一部始終--OB団体陥落の舞台裏
「力関係」の変化を象徴
今回のJAL騒動で異質なのは、法律で守られているはずの年金受給権が簡単に削られてしまったこと。本来、企業はあってはならない年金カットを受給者にお願いする立場だ。そして、手続き的には、受給者が自ら不利な条件変更を決めたことになる。
しかし、実際には受給者に選択肢はなかった。仮に年金減額に失敗し、JALが融資を受けられず資金ショートしても、倒産イコール年金基金の解散ではない。だが、西松社長は「泣き落とし」で受給者の切り崩しを図ったし、民主党は年金基金解散の特別立法も辞さない強硬姿勢を示した。
現行年金法制を覆す個別企業向けの特別法にどの程度の効力があるか疑わしいが、受給者からすれば「減額を飲まなければ、さらに大幅カットの危険性がある」と脅されたようなものだ。
年金カットは労組の顔色を見てお願いするものではなく、経営陣や銀行団などが一方的に押し付けることが可能という悪例を残したことになる。
(東洋経済HRオンライン編集部)
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