JAL年金問題の一部始終--OB団体陥落の舞台裏


OBの同意しやすい条件、30%カットを設定

会社側が提案した年金カット率は現役社員が53%、OBが30%と差が付いた。現役社員は会社が倒産すれば年金どころか月々の収入が途絶えかねない。しかし、OBの間では、会社が倒産しても年金が保護されやすいことがよく知られていた。

同じカット率では、会社を存続させたい現役組と、会社より年金を守りたいOB組とで利害が対立し「世代間闘争になりかねなかった」(企業再生支援機構関係者)。このため、最初からOBの同意を取り付けやすい条件を設定した。

手ごわいOBを電話で一本釣り

JALのOB団体の年金問題に対する強硬姿勢は在京マスコミの中では有名だった。今回の減額問題に絡んで、日本経済新聞のほか一部通信社や夕刊紙がJALの「高額年金」を報じたが、OB団体が強烈なクレームをつけた。ただ、事実関係の誤りを具体的に指摘し、訂正を要求するものではなく、OBの立場を熱を込めて説明するものだったという。

最終的に合意を取り付ける原動力となったのは、経営トップ自らの説明だった。

従業員やOBに書面を送り付けるだけでなく、西松社長が自ら全国各地に出向き、年末も頭を下げて会社の窮状を訴え、減額の受諾を要請して回った。そして、基金解散となれば、削減率は現役もOBも60%に拡大することを明かし、同意を求めた。

締め切り最終日の12日、OBから集まった「退職年金削減同意書」は5991通と、減額可決に必要な3分の2を24通だけ上回った。

「一本釣りさながらに、本社から電話でOBに個別攻勢を掛けていたようだ」(JAL社員)。現役の合意は9割を超えていた。

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