JAL年金問題の一部始終--OB団体陥落の舞台裏
史上最大の年金減額
日本航空(JAL)は経営再建努力が実らず、ついに法的整理に身を委ねることになった。巨額の企業年金の積み立て不足が出直しの大きなネックとなっていたが、1月12日に加入者の3分の2超の同意を取り付け、年金の減額が正式に認められることになった。
現役で5割、OBで3割の大幅カットは日本の企業年金史上で最大規模の減額となった。
年金債務という地雷
JALの経営の悪化ぶりは新聞等で既報のとおり。日本政策投資銀行の融資で資金繰りする状態が長く、特に2009年4月以降は実質的に破綻状態のまま、何とか上場を維持していたにすぎない。
積み立て不足はざっと3300億円余り。年利4.5%で運用することを前提として算出した支払予定額に対する不足分だ。9月中間期末で株主資本は1592億円だったから、ストレートに時価評価すると、大幅な債務超過になってしまう。
年金問題が本格的に取りざたされたのは昨夏。政投銀が緊急融資を実行する条件として、JALに年金の減額を要求した。というのは、すでにJALの資金繰りは毎期のキャッシュフローだけでは回らず、政投銀が野放図に融資を続けても、そのまま給与や年金に消えてしまう可能性があったからだ。
政投銀はみずほコーポレート銀行と並ぶ事実上のメーンバンクとしてJALの資金需要を支えてきた。しかし、言われるがままに資金を拠出してきたわけではなく、政治圧力を背景に財布代わりに使われる状況をむしろ苦々しく考えていたフシがある。