「日本式」がベスト?岐路に立つ英鉄道の民営化

コロナ禍で「フランチャイズ制度」見直し論

日立製の車両「あずま」。同車両が走る東海岸本線は英運輸省が民間運行会社の運営権を剥奪し、事実上国有化している(筆者撮影)

日本の国鉄民営化から10年後の1997年、イギリス国鉄は完全民営化を果たした。そのときから民営化の軸とされてきた「フランチャイズ制度」が、コロナ禍をきっかけに岐路に立たされている。

日本の国鉄民営化とは違う「上下分離方式」を導入したイギリスでは、「上」に当たる列車運行会社として国内企業のほか外資参入も実現し、競争が発生することで運賃が下がるなど、利用者にとっては歓迎すべき状態が生まれた。一時は減少していた鉄道利用者数は、今や第2次大戦後で最高を記録するまでになっている。

しかし一方で、列車運行会社が労使間のトラブルや車両運用の問題などで定時運行率を悪化させたり、適正な列車本数を運行せず恒常的に乗れない利用者が出るといった問題を起こしたりと、制度上の欠陥も相次いで発生。近年では運営権(フランチャイズ)を政府に剥奪される運行会社が続発する事態となっており、仕組みの見直しを問う声があちこちから上がっている。

コロナを機に制度見直しの声

そんな中、イギリスに新型コロナウイルス感染の波が押し寄せた。3月中旬時点で、政府はウイルスの拡散が相当広範囲に広がっていると認識。ジョンソン英首相は国民に向け「Stay Home(家にとどまれ)」と呼びかけ、ウイルスの拡散を食い止める施策を打ち出した。

これを受け、鉄道利用者が大幅に減少すると見越した英運輸省は3月23日、ナショナル・レール(National Rail、旧国鉄線に付けられたブランド名)各線・区間のフランチャイズ契約を6カ月間停止すると発表した。この対応により、列車運行会社各社は当面の間、経営上のリスクを最小限に抑えられている。だが、専門家の間では、これを機にフランチャイズ制度の見直しを求める声も上がっている。

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