安易にリモートワーク導入する企業を襲う悲劇 過去にはたくさんの企業が取りやめている

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「本当に仕事をしているのは誰か、見かけほど働いていないのは誰かといったことがある程度わかるようになってきた」。このように述べた上でガンドラック氏はこう付け加えた。「監督する側の人間、中間管理職の中には、本当に必要なのか疑問に感じるような者もいる」。

サンフランシスコ州立大学のジョン・サリバン教授(経営学)によると、在宅勤務に関する「ここ3カ月のデータはとても力強い。驚きの結果だ。生産性に落ち込みは見られず、むしろ生産性が上がったケースも多い。人々は過去1000年にわたって仕事に出かける生活を送ってきたが、それが終わろうとしている。すべての人々の生活が変わろうとしている」。

2017年と変わったこと

ただ、RLMパブリック・リレーションズのラーマー氏は慎重な姿勢を崩していない。3月にオフィスを閉鎖したとき同氏は、在宅勤務は大失敗に終わると考えていた。2017年に毎週金曜日を在宅勤務の日としたときの5倍はひどい状況になる、と。

現実は違った。今のところ在宅勤務はかなりうまくいっている。ズームを使って会ったこともない人を何人か採用したほどだ。「彼らの働きぶりはすばらしい」。

何が変わったのだろうか。1つには、ズームなどのテクノロジーが進歩したことがある。さらに「当社ではルールづくりも進んだ」とラーマー氏は話す。「午前9時〜午後5時半はいつでも連絡がとれるようしておかなければならない。この時間には子どもの世話はできない」。

だが、ラーマー氏は借りているオフィスを解約するつもりはないという。

「多くの企業は、在宅勤務はすごくうまくいっている、この先もずっと在宅勤務を続けると言っているが、体のいいPRだ。空想ばかり先走って、地に足がまったくついていない。うちの会社ではワクチンが開発されしだい、オフィス勤務を復活させる」

(執筆:David Streitfeld記者)
(C)2020 The New York Times News Services

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