菅義偉「コロナ第2波、かなり準備はできている」 官房長官が語る地方、縦割り行政、経済、五輪
従来の治水対策を根本的に転換して、既存のダムの活用で、新しいダムを造るコストと時間をかけずに水害対策に使えるダムの容量を倍増したわけです。これで、それぞれのダムの下流では氾濫を相当減らすことができると思います。
国交省は、実は旧河川局(現:水管理・国土保全局)の時代からずっとアイデアを持っていたけど、他省庁のダムに手を出すのは無理だろうと思っていたようです。それを政権のリーダーシップで実現したわけです。
塩田:ダムだけでなく、同じように外からは見えない問題がいくつも隠れているのでは。
コロナ危機に直面していろいろな問題が見えた
菅:そうです。これまでも観光や農業などいろいろな分野で、縦割りの中で埋もれていた問題を引っ張り出して、政策を前に進めてきました。まだまだこういう話はあると思いますので、今後もどんどん進めようと思います。
今度のコロナの問題でも、感染者や死亡者のデータも、都道府県、東京の区、厚生労働省で、まとめているものにずれがあった。東京都と23区の保健所の連携が機能しておらず、最初、何人に検査して何人が陽性という数字がなくて、陽性者の数しかきていなかった。毎日、何人を検査したか、5月に入るまで、東京都は対応できていなかった。厚労省に「出せ」と指示しても、都庁と区の保健所の権限がある意味で対等で、お互いに十分なやり取りがなかった。都知事は最初、「23区は国でしょう」と公の場で言っていました。その認識だったんです。私が強く言って、厚労省と都庁と区の保健所の会議が開かれるようになりました。
危機に直面して、いろいろな問題が見えるようになりました。だから、今、全部、整理しています。仮にコロナの次の流行の波が来ても大丈夫なように。
塩田:安倍内閣は菅官房長官のリードで首相官邸主導体制を作り上げ、縦割り行政を乗り越えていく姿勢が目立っています。一方で首相官邸が強すぎるという批判もあります。
菅:だって、物事を変えるわけですから。変えれば、必ずいろいろと言われます。人事でも、例えば海上保安庁長官に、たたき上げの保安官の中から起用した。職員は1万2000~1万3000人ですが、キャリアはほとんどいない。長官に毎回、事務系のキャリアがなっていたら、組織がうまくいかない。日本政策投資銀行(DBJ)も、前身の日本開発銀行時代から財務省OBの事務次官経験者がトップになっていましたが、2代続けて生え抜きの社長にしています。そういう人事が首相官邸の判断でできるようになりました。首相官邸が強すぎると言うなら、そういう人事もおかしいという話になります。
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